津軽そばの名店「かね久 山田」 週末限定で営業再開

update 2019/12/18 17:48


 病気療養のため4月に一度閉店した函館市宝来町の老舗そば店「かね久 山田」が11月下旬から毎週金、土、日曜日の3日間限定で営業を再開した。店主の中村るみ子さん(69)が5月に受けた乳がん手術の経過も良好で再出発を決意。中村さんは「閉店時に『待っているからね』と掛けてくれた声に背中を押された。病気をしてつくづく人の気持ちの温かさを知りました」と話し、感謝を込めてそばを打ち、店舗での再会を待ち望んでいる。

 同店は、生大豆の豆乳をつなぎとする手打ちの「津軽そば」とウルメイワシのだしでつくるつゆで味わう名店。元々は祖父が末広町にあったそば店で津軽そばを教わり、1918(大正7)年に家業の雑貨店で振る舞うようになったのが始まりで、34(昭和9)年の函館大火後にそば専門店となった。祖父が亡くなった後は祖母、母へと店と味が引き継がれ、20歳からそばを打つ中村さんが妹の牧野裕美子さん(67)と切り盛りしてきた。

 昨年秋頃から体に違和感を覚えていた中村さんは今年4月9日に乳がんと診断された。店舗の外壁を直し、のれんも新しくしたばかりだったが、治療に専念するために同15日で閉店することを即決。最後の2日間には328人も訪れた。
 5月に右乳房を全摘出し、術後の抗がん剤治療では全身の激しい痛みにも苦しんだが、担当医からは「リハビリが大事」と言われ、閉店時に受けた多くの励ましの声を胸に体力と日常生活を取り戻す努力を重ねてきた。

 再開の契機は北斗市内の寺院で毎年11月16日に執り行われる報恩講の法要に合わせて受けてきた大口の注文。閉店したこともあって一度は断ったが、「ぎりぎりまで待つから」と言われ、同5日に閉店後初めてそばを打った。「練り場に立つと気持ちも『シャキン』となった」と笑顔を見せ、例年同様に100食分を納めたことが大きな自信になった。
 常連客の後押しもあって同22日から週末限定で再開。担当医からもお墨付きをもらってはいるが、うるかした大豆を40〜50分かけてすりつぶす作業やそば打ちは負担がかかるため、仕込みの量を30〜40人前と以前の半分に減らした。再開は口コミで広がっているほか、店先の張り紙を見てのれんをくぐる客も少なくなく、いずれも久しぶりの味を喜ぶ。中村さんは「もう少し作れそう」と話すが、常連客は「無理しなくていい」と声を掛ける。

 中村さんは「私のように乳がんを患った女性も多いはず。深く考えすぎず、落ち込まないこと、リハビリを頑張ること、励みになることを持ってと伝えたい。店もできる限りは続けていきたい」と話している。

 当面、金、土、日曜日の午前11時半からの営業を続ける。問い合わせは(0138・23・4438)へ。

提供 - 函館新聞社

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