函館の料理界けん引 秋保栄さん死去に惜しむ声

update 2019/12/17 07:14


 1954(昭和29)年9月の台風15号による青函連絡船「洞爺丸」の海難事故の生存者で、元函館食品衛生協会指導員の秋保栄さん(函館市湯浜町)が、14日に86歳で亡くなった。至高の料理長≠ニ称され、函館の料理界をけん引した人物の訃報に惜しむ声が相次いでいる。

 函館食品衛生協会専務理事で、元函館市議の佐古一夫さん(72)は「40年来のつき合いで、父親のように慕っていたので非常に残念。食品衛生分野を中心に多大な功績を残した」と惜しむ。

 2016年度には、市の市民貢献賞(産業経済功労)を受賞。魚食普及の料理教室やガゴメコンブのレシピを考案するなど、食文化の向上発展に貢献した。

 函館マラソンでは、走り終わった約8000人のランナーに提供する、ガゴメを使ったみそ汁「がごめ汁」を監修。17年大会から出し、ランナーから好評だ。市教委の池田敏春フルマラソン担当課長は「がごめ汁の企画段階から指導・助言をもらい、お世話になった。秋保さんの紹介で、函館短大付設調理製菓専門学校日本料理研究室長の北川陸雄さん、函館国際ホテル総料理長の木村史能さんが協力してくれることになった」と悼んだ。

 北大大学院水産科学研究院の安井肇教授(64)は「ガゴメを使った料理を開発し、市民に広めた功績は大きい。情熱的で技術が高く、心も温かかった。函館にとって大きな損失だ」と肩を落とす。

 08年度には、函館大妻高校の外山茂樹前校長(故人)の誘いを受け、同校食物健康科の立ち上げに尽力。10年度まで外部講師として週2〜4時間の実習を担当した。1期生とは、54年当時の連絡船で出していたメニューを再現したり、卒業式には手作りのバターケーキを振る舞うなど、強い思い入れを持ち続けたという。

 池田延己校長(74)は「食物健康科の立ち上げから力を注いでもらった恩人で、生徒たちを情熱的に指導してもらった。大妻のことをいつも心配してくれて、時々学校に来ては思い出話をしていかれた。寂しくなりますね」と話した。

提供 - 函館新聞社

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