函館ラーメンの老舗「鳳来軒」27日に閉店
函館ラーメンの名店のひとつ、函館市末広町8にある「鳳来軒(ほうらいけん)」が27日の営業を最後に閉店する。1948年に先代の店主が開店して60年―。73年から2代目店主の千田正昭さん(73)が店を継ぎ、35年間のれんを守ってきた。千田さんは「持病を抱える妻の健康や自分自身の年齢、体力を考え1年前に決断した」と閉店の理由を話している。多くの市民や観光客らに惜しまれながら「老舗の灯」が消える。
「料理好きの父親の影響を受けて子供のころからラーメンを作っていた」―。千田さんにとってラーメン店の経営は子供のころの夢。家業の水産加工業を継いで、いったん夢を断念した時期があったが、38歳の時に、先代の店主が後継者を探していることを知り、千田さんが名乗りを挙げ、屋号を引き継いだ。
子供のころに味わい、作った「塩ラーメン」の味が支えで、独自に研究を重ね、わずか1カ月の準備期間で「店の味」を作り上げた。開店初日は約400人が来店し、「とにかく忙しかった。ただ、夢を実現させたことはうれしかった」と振り返る。
メニューはラーメンをはじめチャーハンやギョーザなど15種類あるが、人気は函館ラーメンの本流の「塩ラーメン」(500円)。具はチャーシュー、ネギ、メンマの3種類で、軽くちぢれためんと透明感のあるあっさり味のスープは35年間変わらない。
「いつ、どんな状態でも同じ味を維持することを心掛けている。それがラーメン作りの難しさ」と話し、「『前来たときと味が変わらないね』と言われたときはうれしい」と笑う。
昔と比べて具が多く、こってり味のラーメン店が増えつつある中、「味や中身を変えようとは一度も思わなかった。昔ながらのスタイルを守り抜いたことで、多くの人に支持していただいたと思う」という。
70歳を過ぎたころから引き際を考え始め、昨年9月、一緒に店を切り盛りしていた妻の秀子さん(68)が体調を崩したのをきっかけに、店を閉じる決心をした。
常連客が来るたび、閉店することを伝えているが、「まだできる」「やめないで」と言われる。千田さんは「今は未練はない。店をたたむまでいつも通りのスタイルでやっていく」と淡々と話す。
営業時間は午前11時―午後2時。スープがなくなり次第閉店する。休業日は日曜、祝日だが、23日の秋分の日は営業する。
提供 - 函館新聞社
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