未来大研究用カメラ撤去と慰謝料を求め、大学院生の男性が提訴

update 2007/1/25 14:18

 公立はこだて未来大(函館市亀田中野町、中島秀之学長)の研究棟内に設置されたカメラはプライバシーの侵害に当たるとして、東京都在住の医師で同大大学院生の滝沢清さん(68)が、大学を設置・運営する函館圏公立大学広域連合(連合長・井上博司市長)を相手取り、カメラの撤去と500万円の損害賠償を求める訴えを24日、函館地裁に起こした。

 同大によると、カメラは研究棟供用開始の2005年4月までに設置し、その前後に試験稼動したが、実際には運用されていないという。滝沢さんは「十分な説明もないままカメラを設置したのは、情報化、IT(情報技術)化を扱う大学の情報管理として問題」と指摘している。

 訴えによると、滝沢さんは「(心電図のデータ解析という個人情報を扱う)研究を、同大学で継続して実施することが困難になり、精神的苦痛は筆舌には尽くしがたい」とし、カメラの撤去と慰謝料などの支払いを求めている。

 滝沢さんは05年から複数回、大学や同連合に対し、カメラ設置の経緯やプライバシー、肖像権侵害問題に対する説明を求めた。しかし、大学側から納得のいく説明はなく、同連合からは回答がなかったという。

 カメラは、人間の動きをコンピューター処理・分析することで、人間とコンピューターの調和について研究するのが目的という。特定の部分を写すカメラ24台と全方位を写すカメラ6台。4年間のリース契約で、設置費用は約1660万円。

 同大によると、カメラ設置の前後、3月から5月にかけ、数回テスト稼動した。実際には研究目的に撮影は行われていないという。批判を受け、現在は一部のカメラ部分が取り外され、16台(うち全方位4台)が設置されている。

 「設置には大学全体の合意が必要」という一部の教授や学生らの声を受け、同大は05年5月と10月に計3回、説明会を開催。昨年2月には、使用には倫理委員会の可否審議や、学生に対する実験実施の周知などを盛り込んだ指針を策定した。

 提訴を受けて同連合は「訴状の内容を承知していないので、コメントを差し控えたい」としている。

提供 - 函館新聞社



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