函館の観光客、500万人割れ目前

update 2005/6/11 13:24

 函館観光が苦戦を強いられている。市内の観光スポットの利用者数は軒並み前年割れで、にぎわいもまばら。旅館やホテル、土産物店などは、北海道観光の書き入れ時となる夏本番に向け、不安を募らせている。国内旅行客が愛・地球博(愛知万博)に奪われていることに加え、夜景や異国情緒などを核とする函館観光のマンネリ化を指摘する声も出始めた。北海道新幹線の開通を控え、新たな魅力づくりが急務という実態が浮き彫りになった格好だ。

 市内の観光客入り込み数は1998年度の539万人をピークに減少傾向が続いている。有珠山噴火で道内観光が冷え込んだ2000年度は488万人まで落ち込み、一時は回復の兆しを見せたが、昨年度も前年度比3・4%減の506万人と低迷。500万人割れが目前になっている。

 本年度は落ち込みが一層大きく、主要観光9施設の利用状況はほぼ前年割れ。4、5月分の前年比は写真歴史館14・3%、五稜郭観光駐車場13・7%、元町観光駐車場12・9%、五稜郭タワー11・3%、旧イギリス領事館9・3%、函館山ロープウェイ8・3%、旧函館区公会堂8・2%のいずれも減。増加は元町案内所(前年比3・5%増)、駅案内所(同3・0%増)の2カ所にとどまった。

 函館湯の川温泉旅館協同組合(金道太朗理事長)は「ゴールデンウイークはサクラの開花が重なるなどの追い風で、前年並みの客数を確保できた。ただ、1人当たりの単価は確実に下がっている」と指摘する。その上で「万博は9月までの開催。どの旅館、ホテルも、夏場への大きな危ぐを抱えており、例年にない厳しい状況となるのは必至」とみている。

 金森洋物館でオープン時から土産物店を開く男性(49)は「客足は昨年と比べ、3割は落ちており、これほどの落ち込みは経験がない」となげく。さらに「函館は異国情緒が売りの一つだが、海外旅行が当たり前になり、その優位性は失われつつある。官民一体となった新しい魅力の創出が急がれる」と訴える。

 JR函館駅前で客待ちをしていたタクシー運転手の男性(62)は「昨年は1時間半で客を見つけられた。今年は3時間待ちが当たり前」とあきらめ顔。「函館は観光都市としては死んでいる。西部地区など、これまでの観光の受け皿があきられている」と厳しい。

 現状について、井上博司市長は「500万人を切ることは地域にとって一大事。地域を挙げて、取り組んでいかなければならない課題」と話しており、旧町村地域との連携やホスピタリティー(もてなしの心)の向上など、さまざまな手法で、観光客の“函館離れ”を食い止めたい考えだ。(奥山秀俊、上杉幸生)

提供 - 函館新聞社



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