ニヤマ高原スキー場のオオヤマザクラがこぶ病に…浅利さんら「治療」に着手

update 2005/6/3 10:35

 【七飯】ニヤマ高原スキー場内にある推定樹齢200年のオオヤマザクラ9本のうち8本が、細菌による病気「こぶ病」にかかり、症状が進行している。七飯町緑町の桜研究家、浅利政俊さん(74)と函館市富岡町1、やながわ苑芸社長の柳川光男さん(64)がこのほど、病気にかかった枝を切り落とし、周辺の雑木を刈り払うなどの「治療」に着手。3年をめどに回復を図る。

 「道南最古のオオヤマザクラ」(浅利さん)で、今年は大型連休明けに満開となった。花が大きく、鮮やかな紅が特徴で、スキー場からは大野平野や津軽海峡、下北半島まで望め、知る人ぞ知る桜の名所の一つ。

 こぶ病は、枝にこぶ状の腫瘍(しゅよう)のようなものができる。重症になるとこぶが数珠つなぎのようになり、ベッコウダケなどキノコの細菌が枝の内部を侵し、朽ち落ちる。放っておくと樹木全体や、他の抵抗性のないオオヤマザクラに感染する。確たる治療法はなく、進行を抑えるために症状の重い枝を切り落とすことが有効という。

 この日は柳川さんがのこぎりで中程度の症状の2本の枝を切り落とし、浅利さんが桜の養分吸収の妨げとなるナナカマドや野バラ、ヤマモミジ、ヘビノボラズなどの雑木や植物を刈り取った。

 柳川さんは「切るのは枯れている枝が中心だが、病気の部分と健全な部分が密着していると感染するため、やむを得ず健全な枝を落とすこともある。今後は切った部分へ養護剤を塗るなどしていく」と話す。

 9本の中には昨年の台風被害で、枝分かれした幹が折れた姿も見られる。浅利さんは「折れていても生きようとする力は残っており、切り落とさない。雑木処理など周りの環境を整えることで、折れても咲き続ける」と説明する。

 浅利さんはかつて、函館市の北大水産学部や函館ラ・サール高校のオオヤマザクラのこぶ病を発見し、仲間と処置した経験を持つ。道内ではカスミザクラでの発生も確認している。本州では確認の報告はないが、浅利さんは「恐らくどこかで発生しているはず」と懸念する。

 今年は全体の8割ほどの治療を進め、3年をめどに処置を終える予定。この春、財団法人日本さくらの会(河野洋平会長)の「桜守(さくらもり)」に選ばれた浅利さん。「オオヤマザクラは300年は生きる。もう100年は生かさなければ」と、新たな一歩を踏み出した。

提供 - 函館新聞社



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