函館保護観察所管内で対象者10人が所在不明

2005/5/25
 函館保護観察所管内の保護観察対象者252人(4月末現在)のうち、10人の所在が分からなくなっていることが、24日までに分かった。大半が保護司との連絡を一方的に絶ち、いつの間にか転居していた。少女監禁事件で逮捕された男が、保護観察中に罪を犯していたことが明らかになり、保護観察の在り方が問われる中、早急な改善策が求められる。

 保護観察制度とは、犯罪や非行をした人を社会の中で自立更生させる仕組み。生活の目標や指針(遵守事項)を守るように指導監督するほか、就職の援助や相談などを通じ、対象者の更生を促す。同保護観察所職員の保護観察官と民間人ボランティアの保護司が連携して行う。

 同保護観察所管内の行方不明者は、家裁で保護観察に付された少年115人のうちの4人。少年院から仮退院を許された少年36人のうちの1人。刑務所から仮出獄を許された36人のうちの2人。東京で起きた少女監禁事件で逮捕された男(24)と同じく、裁判所で保護観察付きの執行猶予刑を受けた65人のうちの3人。

 保護観察の対象になると、保護司と月に2―3回面接し、生活状況や悩みを報告する。転居する場合は、同保護観察所長の許可を得るなどの手続きが必要だが、手続きを取らないまま行方不明になるケースが少なくない。行方不明になると、保護観察官や保護司が、親族などと連絡を取りながら捜索する。

 社会活動の中で健全化を図ることが更生保護の大前提。それだけに保護観察中の再犯事案や所在不明者が相次ぐことに、関係者はジレンマを隠せない。60代の保護司は「四六時中対象者を管理下に置くことはできない。また、そうすべきでもない」と漏らす。

 同保護観察所は「対象者と保護司、保護観察官が連絡やコミュニケーションを密にして、対象者との空白を埋めることが急務」と話している。

 同管内の保護司は、定員560人に対し、4月末現在520人で、充足率は約93%。平均年齢は63・2歳。

提供:函館新聞社

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