浅利政俊さんが「桜守」に

update 2005/4/26 11:13

 松前公園(松前町)の桜を育て上げたことで知られる、道教育大函館校非常勤講師で桜研究家の浅利政俊さん(74)=七飯町緑町=がこのほど、財団法人「日本さくらの会」(会長・河野洋平衆院議長)の「桜守(さくらもり)」に選ばれ、表彰を受けた。全国から6人が受賞し、道内からはただ1人。長年にわたり桜の品種改良や保存研究などに努めたことが評価された。浅利さんは「ひとつの到達点として受賞。支えてくれた関係者のおかげ」と控え目に喜びを話している。

 同会が今年、設立40周年を迎えたことを記念し設けた顕彰制度。1350個人・団体の候補の中から選ばれ、東京で行われた記念大会の席上、河野会長から表彰状を受けた。本間寛事務局長は「品種改良はもとより、桜を通した教育に尽力された」と授賞理由を説明する。

 浅利さんは元小学校教諭で、昭和20年代後半から八重桜のルーツ解明や苗木の育成に取り組んだ。松前松城小学校勤務時代の1957(昭和32)年、当時の佐々木豊松前町長が掲げた「町教育植物園構想」で、桜の園づくりを依頼された。

 当時は、松前神社の左右に八重桜や山桜を中心に300本ほどしかなかったという。沖縄の緋寒(ひかん)桜から北の千島桜まで植栽し、品種の特性や生態を解明するなどの理念を掲げ、仲間とともに実践。生態やルーツを解明することが品種改良につながり、250種、1万本が咲き誇る現在の松前公園をつくり上げた。

 「教育や研究のためで、観光のためではなかった」と、浅利さんは正直に振り返る。土まみれになって誕生させた新品種は105種類に上り、その多くが国内はもとより北米、南米、ヨーロッパ、アジア諸国に渡り、花開いている。

 浅利さんは25日、函館市千歳町の市立はこだて幼稚園(毛利悦子園長)で行われた植樹会に参加し、自身が改良、育て上げた「紅豊(べにゆたか)」を園児らとともに植えた。早咲きの八重桜で、鮮やかな紅色が特色という。「桜を通した教育活動」の日々は続いている。

 目標は、北海道の桜のレベルアップ。「本州に負けない桜の名所をもっと増やしていかなければ。道はまだまだ半ば。桜の美しさを絶えず求めてきた日本人の精神を守り、新しいものを作り上げていくことが大切」と力を込めた。

提供 - 函館新聞社



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