イカ刺し酸素パックで鮮度長持ち

update 2005/4/25 10:37

 北大大学院水産科学研究院の関伸夫教授らでつくる研究グループがこのほど、生の状態で刺し身などに加工したイカを酸素パックに詰め、5度の保存で鮮度保持を伸ばせることを確認した。5度では細胞が活動し、バクテリアの繁殖も防げる。イカの水揚げから消費地までの輸送ラインの確立を前提に、年内の商品化を目指す。

 イカの組織細胞は加工後も約12―24時間は生存する。鮮度の低下は、生命活動のエネルギー源となるアデノシン三リン酸(ATP)の減少が原因。

 これまで新鮮なイカを本州などに輸送する場合、活魚では海水と浄水装置が不可欠でコスト面での負担が大きかった。同研究ではイカを加工した状態での出荷を模索した。

 透明感と歯応え、うま味の3つを研究のポイントに置いた。保存上の温度や気体の条件を試行錯誤。イカを生きたままで加工した後、速やかに5度の状態で酸素保存すると4―5日は鮮度を維持できる。

 水産加工業界ではイカの酸化がタブーとされてきたが、同研究は生存する細胞に注目し、酸素の供給が呼吸を促進。イカを切り表面積を広げることが、組織細胞の呼吸をより効率的にした。

 同研究院の関教授は実現に向け「漁場から加工場、運送、消費者までの流通システムの構築にかかっている」と指摘。「函館発信で全国初の商品化にこぎつけたい」と意欲を見せる。

 同研究は同研究院と道立工業技術センター、地元水産加工業者が取り組む、文部科学省の「都市エリア産学官連携促進事業」のひとつ。3年目のことしは、同事業の最終年度となる。

提供 - 函館新聞社



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