モミの木SOS

update 2003/11/6 10:20

 はこだてクリスマスファンタジー実行委員会(沼崎弥太郎会長)は5日、函館の冬の一大イベント「2003はこだてクリスマスファンタジー」(12月1―25日)のシンボルツリーとして会場に設置する、モミの木(高さ約18メートル)を焼却処分すると発表した。カナダからの運搬に伴い、苫小牧で行われた検疫で消毒方法が未確立の害虫の発生が確認されたため。同委員会は善後策として道南を中心に代わりの木を探す方針で「例年並みの巨大ツリーを設置する」としている。

 モミの木は今年で6回目を数える同イベントのシンボル的存在で、毎年、函館市の姉妹都市、カナダ・ハリファクス市から寄贈されている。今年は8月下旬に同実行委メンバーが現地で選別、例年より半月ほど早い10月16日にバンクーバーから出航、同27日に苫小牧港に到着した。

 その後、函館に運送される予定だったが、同31日に農林水産省横浜植物防疫所札幌支所室蘭・苫小牧出張所で行われた検疫で、消毒方法が確立されていない害虫、キンケクチブトゾウムシの成虫をコンテナ内に確認。報告を受けた函館市と同実行委の代表が4日、同出張所を訪れ、輸入植物検疫規程に基づき、返送か焼却処分の対応を求められた。キンケクチブトゾウムシは出港時の検疫では確認されていなかった。

 モミの木は寄贈品のため、カナダに返すことはせず、焼却する予定だが、苫小牧には適当な施設がなく、運搬を請け負った運送会社を通して処分場を探している。モミの木は現在、同出張所に保管されている。同実行委が負担したバンクーバーから函館までの運送費は85万円。

 5日に函館国際観光コンベンションセンターで開かれた記者会見で沼崎委員長は「処分は4日夜に決定した。損害はこれから算出するが、金額よりも、贈ってくれたハリファクス市の友好の気持ちを大切にし、これまでの交流に傷が付かないように対応したい」とがっくりとした表情で答弁。

 代わりのツリーについては「大きさなど、例年と変わらないものを函館近郊から用意したい。楽しみにしている市民や観光客の気持ちに応えられるだけのものを探したい」と述べた。

 キンケクチブトゾウムシは中央ヨーロッパ原産とされ、花木、野菜、果樹などを食い荒らす重要害虫。日本では1980年静岡県で発生が確認されたのが最初といわれ、北海道では1993年に札幌市で初めて確認されている。(小泉まや)


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 キンケクチブトゾウムシ

 甲虫目、ゾウムシ科。成虫は8―13ミリ。黒いゾウムシで背中の黄色の斑点(はんてん)が特徴。成虫は5―6月に羽化、7―10月に産卵する。原産は中央ヨーロッパで、花木、野菜、果樹などを食い荒らす重要害虫。日本では年に静岡県で確認されたのが最初とされ、道内では93年に札幌市で確認されている。

提供 - 函館新聞社



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