永眠した警察犬に感謝状

update 2003/2/7 11:12

 長い間、ご苦労さま―。道警函館方面本部が委託していた警察犬「フレアー号」が昨年末、10年の生涯を閉じ、同本部は6日、8年余りにわたるこれまでの活躍に敬意を込め、飼い主の黒瀬一也さん(55)=函館市深堀町38=に感謝状を贈呈した。同本部の鈴木巖本部長は「戦友を失った気持ち」と声を詰まらせ、現場をともにした捜査員らも「一緒にいてくれると心強かった」と寂しさを募らせている。

 フレアー号はシェパードの雌で、本名「フレアー・フォン・リューデスハイム」。指導手も務める黒瀬さんとともに、1994年10月から委託警察犬として捜査活動に携わってきたが、昨年12月28日に病死した。

 警察犬として毎年の審査を通過し続け、連続8年2カ月、委託を受けた。この間の出動回数は54回。昨年6月のサッカーワールドカップ(W杯)では札幌での警備にもあたり、道警本部刑事部長から感謝状を贈られている。

 フレアー号は、臭いで犯人の逃走ルートをたどったり、遺留品を見つけたりすることを得意とした。北桧山で発生した強盗致傷事件では犯人が捨てた軍手を草むらから発見して捜査を前進させるなど、数々の功績を上げており、現場の捜査官からの信頼も厚かった。捜査員の1人は「前を歩くフレアー号の姿がいまでも目に浮かぶ」と、永遠の別れを残念がる。

 黒瀬さんは、フレアー号との思い出の中で「W杯での警備が一番印象にある」という。フレアー号にとって、初めての人ごみとなったススキノの警備。「珍しく落ち着きがなかった」という。時間がたつにつれて高い順応性をみせ、冷静に任務をこなしたものの、「今でもあのときの光景は目に浮かぶ」。

 シェパードの寿命は約15年といわれるが、昼も夜もなく出動が要請される警察犬の場合、寿命は10年程度と短い。犬の10歳は人間でいえば50代半ばともいわれ、激務が想像できる。

 雌のシェパードとしては、少し小さめだったというフレアー号。黒瀬さんにとっては4頭目の警察犬だった。通常2頭で行う捜査も1頭でこなした。「本当によく頑張ってくれた」。フレアー号の死から2カ月。黒瀬さんはフレアー号のめい福を祈りながら、遺志を継ぐ5頭目の警察犬育成を始めている。

提供 - 函館新聞社



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