七飯のクロビイタヤ

update 2003/10/13 09:40

 【七飯】七飯町本町の林地にある巨木のうちの1本が、道内では日高地方にのみ自生するとされるクロビイタヤ(カエデ科)であることが、道教育大函館校の非常勤講師、浅利政俊さんの調べで分かった。浅利さんは「珍しい木が大木として残っていることに驚きを感じる。今後は保存活動を展開するなどして、貴重な財産を守っていきたい」と話している。

 クロビイタヤは明治初期の発見当初から、日高、胆振、石狩、十勝など日高山脈に沿う土地を中心に自生しているとされてきた。現在は東北、中部地方の山岳の一部にも分布が確認されているが、道内では、日高以外では札幌の北大植物園に植栽された1本があるだけで、道南での確認は初めて。

 同林地は七重小学校グラウンドの裏手にある約2000平方メートルの土地で、林野庁が管理している。同所には1808年に植栽したスギの老木が数本あり、そのスギを調べるための予備調査を9月3日に実施した際、クロビイタヤの存在を確認した。浅利さんは「葉が普通のイタヤカエデとは違うので、不思議に思って家に帰り10冊以上の文献を調べた。その結果、北海道と縁深いクロビイタヤであることが分かり、びっくりした」と話す。

 同月18日の測定調査から、直径71・6センチ、幹周は225センチ、高さ約20メートル、樹齢は推定で120―130年と判明。時代背景や公地に植栽されていることなどから、クロビイタヤを発見した宮部金吾が研究のために日高から持ち込んだことが考えられるという。
 枝には「日本名・クロビイタヤ アイヌ名・ヤイウエンデトペニ」と記した標示板が付けられ、大きく広がる枝葉は手を伸ばせば届く高さまで垂れ下がっている。誰でも容易に観察できる環境が整っており、一部では既に黄葉が始まっている。

 浅利さんは、町との協力で木の存在を広くPRするとともに保存にも力を入れていくとしており、「クロビイタヤはその分布や学名など、北海道と極めて縁の深い木。これから黄葉の時期も本格化するので、ぜひ一度見に行ってほしい」と呼び掛けている。

提供 - 函館新聞社



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