クラリネット奏者鳥潟さん、故郷・森町で再出発

update 2021/8/24 07:35


 【森】クラリネット奏者、鳥潟さくらさん(29)が今年5月、留学先のフランスから帰国し、生まれ故郷の森町で後進の指導をしながら演奏活動を続けている。昨年から猛威をふるう新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が続く中、熟慮の末、帰国を決意。「これまで培った経験を後進の育成や地元の音楽振興に還元したい」と心機一転、活躍を誓っている。

 鳥潟さんは森中学校1年の時、吹奏楽部に入部してクラリネットを始めた。その後、東海大四高校(現東海大札幌高校)、国立音楽大学へと進学。高校時代には全日本吹奏楽コンクールに出場し金賞を受賞したほか、国立音大を首席で卒業し、皇居内桃華楽堂での御前演奏を経験した。大学卒業後の2014年にフランス・パリ地方音楽院に留学し、約7年間過ごした。

 住み慣れたパリ郊外で音楽活動を続けたいとの思いもあったが、フランス国内でも新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われ、日々のレッスンや演奏活動がままならない状況になった。ロックダウン(都市封鎖)の措置が取られた昨年3月、日本に一時帰国し、森町の実家で半年間過ごした際、指導の依頼や演奏会の出演オファーが思った以上にあり、この時古里に帰ることも視野に入れたという。

 いったんフランスに戻ったが、将来の礎を築くうえで目標としていたオーディションや国際規模のコンクールがコロナ禍でことごとく中止となり、再開の見通しが立たないことから、古里に戻り音楽活動を続ける道を選んだ。

 帰郷後、小中学校や高校の吹奏楽部から依頼を受けて、指導に出向くなど徐々に活動の幅を広げ、12月には函館市内での演奏会を計画している。

 現在、自宅の一部を改装して音楽ワークショップやサロンコンサートができるレッスンルームの開設に向け準備を進める。大学時代や留学時の体験を踏まえながら、「一方的に教えるだけでなく交流が生まれる指導をしたい」「演奏者と聴き手がコミュニケーションをとれるサロンコンサートを普及させたい」と、今後に向けて次々と思いをめぐらす。

 コロナ禍で音楽をはじめとする文化、芸術活動の存在意義が問われる昨今、「音楽が人々の生活にとって身近な存在になるよう、指導やコンサートを通して活動していきたい」。1人の演奏家として新たな一歩を踏み出した。

提供 - 函館新聞社

その他の新着ニュース

前のページにもどる   ニュースをもっと読む



ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです