「原発は未来奪う」…大間差し止め訴訟口頭弁論

2012/12/28
 青森県大間町に建設中の電源開発大間原発をめぐり、函館の市民団体「大間原発訴訟の会」(竹田とし子代表)が国と同社を相手取り、建設差し止めなどを求めた訴訟の第8回口頭弁論が27日、函館地裁(鈴木尚久裁判長)で開かれた。

 弁論で原告側は、北海道アイヌ協会函館支部長の加藤敬人さん(57)と横浜市在住の牧野美登里さん(64)の2人が意見陳述した。

 加藤さんは冒頭、アイヌ語で「何も心配することなく、私たちが暮らすために『化け物の火』を無くしましょう」とアイヌ民族としての思いを述べ、「人間は自然に守られて生きている。原発事故は生きるという考え方を全て否定するもの」と訴えた。

 牧野さんもチェルノブイリ原発事故の影響を受けたベラルーシの子どもたちの保養ステイを12年間続けてきた経験から、「低線量被ばくを受け続けてきた子どもたちは、免疫力が低く、骨がもろいなど、未来が奪われている。原発建設は経済活性化のためとも言われているが、安心、安全、不安のない生活があってこそ、国も豊かになる」と声を震わせた。

 その後、原告代理人は「福島原発事故では、大間原発の事故時に想定されているより1000倍から1万倍も多く放射性物質が放出されている」と指摘し、原発建設のための現行の安全指針類に重大な不備、欠陥があるとした。

 また、大間の北方には巨大な海底活断層があり、西方にも同様の活断層がある可能性も否定できないと指摘。「同社や国は活断層の存在を全く考慮していない。安全審査には過誤・欠落がある」と無効確認を求めた。

 次回の口頭弁論期日は来年3月15日。

提供:函館新聞社

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