経営分離問題 市長、100団体に説明 あすまでに判断

2011/12/20
 北海道新幹線の札幌延伸時に、JR北海道が函館駅―新函館駅(仮称)間を並行在来線として経営分離する問題で、道への回答を先送りしている函館市の工藤寿樹市長は19日、高橋はるみ知事と前日に会談したことを受け、市内の関係団体への説明を始めた。19、20日の2日間で約100団体を目標に理解を求める予定で、21日までに最終判断するとみられる。

 工藤市長は知事との会談を受け「市民の不信や不安を解消する努力をもう少ししたい」と発言。各団体に対し、同区間の第3セクター設立・運営を道が主体的に行うとする知事からの提示や、94年に道と市が交わした現駅への新幹線乗り入れを記した覚書がほごにされたことに対し、知事が会談の中でおわびしたことを説明した。

 訪問対象はこれまでの経済団体や町会連合会などから、福祉、教育などの団体に拡大し、副市長や企業局長、企画部長らと手分けして説明に回った。同市長は取材に対し、「問題の詳細を話した。その場で回答は求めていない」と述べるとともに、最終判断する内容への理解を求めたことを明らかにした。

 訪問を受けた複数の団体幹部は、「直接的には言わなかったが『同意をしたいので気持ちを理解してほしい』という思いだったのではないか」と受け止めた。個人的意見として「ずっと反対していくわけにはいかない」との声や「ここで妥協して前に進むべき」などの意見があり、眼前にある札幌延伸の機会を逃してはならないとの認識もある。

 しかし、道の文書にある「最大限の努力」に対し、「役所独特のあいまいな表現」と受け止める向きも多く、「負担割合を示さずに理解を得ようとするのは、道も市も一緒だ」(団体幹部)との批判も聞こえる。市内のある企業経営者は「団体の中には説明されても困るところもある。新幹線問題を考えてきた団体に話すべきでは」と指摘する。

提供:函館新聞社

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