一本松に感じた「絆」新井満さん復興願い詩出版

update 2011/12/9 09:39


 ヒット曲「千の風になって」の作曲、訳詞で知られる、七飯町在住の作家新井満さん(65)がこのほど、東日本大震災の被災地、岩手県陸前高田市にある防潮林「高田松原」で唯一津波に耐えて生き残った「一本松」についてつづった散文詩「希望の木」を出版した。新井さんは8日、函館市末広町の五島軒本店で開かれた函館ロータリークラブ(加藤憲孝会長)の例会で、被災地の復興と高田松原の再生に願いを込め、詩を朗読した。

 高田松原は約350年前に植林され、海岸沿いに2`にわたり7万本の松が植えられていた。3月11日の大震災の津波で1本だけを残し全滅した。

 新井さんはテレビのニュースで一本松の存在を知った。驚きと感動を覚えるとともに「なぜ1本だけが残ったのか」。その答えを探る中で詩が生まれた。

 その残った一本松に対し、新井さんは「家族の絆」を感じたという。「希望の木」は7万本の松の木を人間社会の家族や仲間として描写。両親や兄、姉を失い、深い悲しみを背負った一本松が、夢の中で星や風に生まれ変わった両親と再会し、津波に襲われた時に父や母らが決死の覚悟で枝を広げて一本松を守っていたことを知る。「あなたが生き続けてくれることが、高田松原7万本の仲間たち全員の『心のささえ』」という母の言葉に、一本松は「一人ぼっちではない」と悟り、希望の木として生き抜いていくことを誓う。

 この日の例会での朗読は函館では初演。波の音や効果音を流しながら新井さんは会員約80人の前で情感を込めて詩文を読んだ。会員も感情を移入しながら聞き入り、目頭を潤ませていた。 新井さん自身も1964年に高校3年で新潟地震を経験。心の傷を負い不安感や絶望感などに苦しんだ「47年前に全国からたくさんの励ましをいただいた。今こそ恩返しをしなければ」と話し、「大切な家族を亡くした時、その悲しみは言葉で表すことはできない。こうした人たちに決して一人ではないという思いを込めて出版した」と思いを語る。

 先月下旬には陸前高田市を訪れ、義援金100万円を寄贈した。

 「希望の木」は、大和出版から1155円(税込み)で刊行。来年10月まで、1冊の販売につき100円の復興応援金が同出版から陸前高田市に送られる。

提供 - 函館新聞社


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