道教育大函館校の佐々木馨教授、「日蓮の思想史的研究」出版

update 2011/11/25 10:01


 道教育大函館校の佐々木馨教授(65)=日本中世宗教史=が、17冊目の単著となる「日蓮の思想史的研究」を山喜房仏書林から出版した。42年間にわたる日蓮論や中世宗教論研究の集大成で、佐々木教授は「日蓮は国家論や民族・宗教論など、多様な価値観を持ち、それを法華経至上主義に集約していった。そうした思想を伝えたい」と話している。

 佐々木教授は教学研究の立場でなく、思想史の側から日蓮(1222〜82年)を読み解き、日本中世の国家と宗教の構造などを明らかにしてきた。日蓮には後世の仮託など、実像と虚像が交錯する部分があるが、仮託本は排除して真筆本から実像を探り、中世思想史上に位置付けた。

 前編では日蓮の生涯や受難について描き、日蓮が比叡山山門派の流れをくむため、寺門派の系譜にある鎌倉幕府から弾圧を受けたことなどを述べた。中編は、日蓮自身が関心を持った国家や民族、宗教について、遺文から考察。後編では、歴史観や世間に対する日蓮の思想を探った。

 鎌倉新仏教の祖師の中で、日蓮は激しい他宗批判を繰り広げたことで知られ、佐々木教授は「祖師の中でも日蓮は最後に出てくる。それを乗り越えるための批判でもあった」と語る。体制を志向し、懐疑し、最後は超克した仏教者の生涯と思想を論述した。

 佐々木教授は来年3月で定年退官する。これまで約100本の論文を発表。日蓮や中世思想史のほか、北海道仏教史や日本人の死生観などの研究を積み重ねてきた。「定年をひとつの区切りとし、中心を占めた日蓮研究を整理し、今後の研究者のお役に立つことができれば」と語る。 A5判670ページ、箱入り。定価1万5750円。

提供 - 函館新聞社


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