イカゴロ海中還元 投入量拡大に向け試験開始

update 2009/9/18 10:20

 【乙部】桧山沿岸でのイカゴロ(イカ内臓)の海中還元試験事業をめぐり、1回当たり100キロを上限とする海中投入量の引き上げに向けた、環境影響試験が17日にスタートした。従来の上限を上回る200―300キロのイカゴロを海中に投入し、水質への影響などを分析する。

 環境影響試験は、ひやま漁協(乙部町、市山亮悦組合長)が実施。イカゴロの投入に伴う油膜の発生を目視で観測するほか、周辺の海水を採取して水質への影響を分析する。調査は11月末まで。今回を含め3回の試験投入を行う。事業費は約170万円。桧山支庁の地域政策総合補助金でおよそ5割の補助を受ける。

 17日の試験投入では、急速冷凍で固形化したイカゴロを飛散防止用のネットで包み、海中還元試験のため鳥山・館浦地区の沖合いに設置されている、鋼鉄製のかごにそれぞれ300キロ、200キロを投入し、水深約10メートルの海底に沈めた。同日の試験では油膜拡散など、目に見える影響は確認されなかった。

 桧山沿岸では2006―07年に、上ノ国町でイカゴロによる集魚試験が実施された。乙部町でも07年、豊かな浜づくり協議会(会長・寺島光一郎町長)が発足。海中で海草類が枯死する“磯焼け”への対策として、漁業者自身が水揚げ額の1%を拠出して試験費用を負担し、イカゴロの栄養分を海中に還元する試験を続けている。

 イカゴロの投入量は、上ノ国町の前例を踏襲して、1回当たり100キロを上限とし、投入地点も1キロ以上の距離を置いている。しかし、漁業者の間では「100キロ程度の量は数日間で分解される。イカゴロの栄養分も狭い範囲にとどまり、磯焼け対策や魚を集める効果も限定される」との意見が大勢を占める。このため、今回の環境影響試験では、投入量の制限緩和の可能性を探る狙いがある。乙部町も「今回の試験を通じて環境に影響のない量的な上限を把握するためのデータが得られれば」としている。

 乙部町でのイカゴロの海中還元試験をめぐっては昨年3月、桧山支庁が効力が失われている過去の通達に基づき、同協議会に試験の中止を要請。試験が一時中断された。町や同協議会は「国の法解釈では規制対象に当たらない」と撤回を要請。道は法解釈の誤りを認め、高橋はるみ知事が直接謝罪する事態になった。

提供 - 函館新聞社




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