啄木の真価とは… 「国際学会」開幕

update 2009/9/6 16:43

 「国際啄木木学会」(東京、太田登会長)の創立20周年記念函館大会(実行委主催)が5日、函館市のホテル函館ロイヤル(大森町16)で開幕した。初日は会員、一般の約200人が参加。開会式に続き、同大会を記念し函館市内の中学、高校生から募った「青春短歌」の表彰式や作家、新井満さんの記念講演が行われた。

 同学会は日本や海外で石川啄木の研究、普及を目的とし1989年に創立。会員は国内外に約250人。函館での大会は93年の第4回以来16年ぶりで、函館開港150周年の協賛として開催。テーマは「未来への架橋―啄木との対話」。開会式で太田会長は「会の節目の大会を啄木が人生の節目を迎えた函館で開くことは意義があり、国際的詩人の啄木の真価を問い、学び、考えたい」とあいさつした。

 青春短歌には、216人から459首の応募があり、最優秀賞に函館商業高校2年の高谷美菜さんの「今はもう振り返らずにラストラン熱い結晶背に乗せた夏」が選ばれた。高谷さんは昨年同校で立ち上げた文芸同好会に所属し、短歌は今年から始めた。陸上部の先輩が6月に開かれた高校最後の大会を終えた時の言葉に感銘し、自分の気持ちを率直にまとめたという。審査を務めた歌人の三枝昴之さんは「主題とリズムが一致し、歯切れの良い魅力的な歌」と評した。高谷さんは「受賞はすごくうれしい。これからも啄木の作品に触れ、活動していきたい」と話していた。

 新井さんは「啄木と音楽との出会い」と題し、自身が作った啄木組曲の誕生秘話を語った。20代の時に啄木の墓参をした時、啄木の短歌に曲を付けることをお願いしたことや、数首をまとめて作った歌を朗読したり、歌い上げた。新井さんは「感動を強調する以外は原詩に忠実に作った。文学と音楽は元々一つであり、啄木のように感動がある文にはメロディーが付けられる」と話した。

 2日目の6日は市中央図書館(五稜郭町26)視聴覚ホールで開催。午前9時40分から同11時55分までは会員3氏の研究発表。午後1時45分から太田会長と近藤典彦同会前会長の対談。同2時半からはインド、韓国らの会員4氏による国際シンポジウムが開かれる。一般の参加も可能で入場無料。



 「青春短歌」で高谷さん以外の優秀賞受賞者は次の通り。

 塚本悟君(函館恵山中3年)=「広い海テトラポットのてっぺんで飛び込んだ後の夏の静けさ」

 田村暢哉君(函館ラ・サール中2年)=「学校の鐘の鳴る度澄む空気初めの心忘れはしない」

 山田健人君(同)=「新緑のが牛山背に啄木は今日も静かに何悩むのか」

 若山大介君(函館桔梗中3年)=「ふと思う自分は何か他は何か問いてみるたび世界が変わる」

 中山兼也君(同)=「塾に行く友といっしょに学ぶこと五本指には入りきらない」

提供 - 函館新聞社




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