全国青年養蜂家のつどい、ニセアカシアなど植樹

2010/9/27
 【乙部】蜂蜜(はちみつ)の里の森づくり―全国青年養蜂家のつどいが26日、乙部町栄浜の「北の魚つきの森」で開かれた。ミツバチとともに全国を旅する養蜂家による講演や、本道では重要な蜜源となるニセアカシアなどの記念植樹を通じてミツバチをはぐくむ豊かな森づくりの大切さを学んだ。

 乙部町、乙部町魚つきの森づくり協議会(中川眞一郎会長)、道養蜂協会成年部(水流俊彦部長)の共催。住民や養蜂関係者ら約200人が参加した。

 父親の代から60年以上にわたり栄浜地区で蜂蜜を採取している、広島県三好町の養蜂家、光源寺毅寿さんは「みんなの生活と蜂蜜」の演題で講演。光源寺さんは「ミツバチには蜂蜜の生産だけでなく、農作物の受粉を助ける大切な役割がある。ミツバチがいなければ野菜も種子も作ることができない」と力説。その上で「農家を支えるハチ不足を防ぐためにも森を大切にしてほしい。蜜源の森を育てている乙部の皆さんは全国で野菜を食べる人たちの力になっていることを誇りにしてほしい」と呼び掛けた。

 道立総合研究機構林業試験場(美唄市)の真坂一彦主査は、蜜源であるニセアカシアをめぐる現状を報告。明治時代に北米から本道に持ち込まれ、街路樹や治山事業などに活用されたニセアカシアを要注意外来生物として駆除する動きがある。真坂さんは「在来植物への影響はほとんどない。ミツバチは季節ごとに咲く花から蜜を採る。アカシアだけをなくしても他の花がない時期にはハチは餌を失う。ハチが居なければ他の植物も受粉ができず子孫を残せない」として、安易な排除に警鐘を鳴らした。

 同試験場の佐藤孝弘研究主幹も、道内の養蜂家を対象にしたアンケート結果から「養蜂家の8割が蜜源として利用しているニセアカシアが失われることを懸念している。蜜源となる森林が減る中でミツバチをはぐくむニセアカシアの重要性はむしろ増している」と訴えた。

 記念植樹では、町内の小中学生が若手養蜂家と手を携えて、大切な蜜源になるトチノキとニセアカシアの苗木500本を植えた。参加者は「たくさんの蜂蜜が採れる森に育ってほしい」との願いを込めて作業に汗を流した。

提供:函館新聞社

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