石崎町でクジラ漂着、珍しい種類? 貴重な資料に

update 2010/9/26 12:41

 函館市石崎町の砂浜で25日早朝、体長6メートルを超すクジラ1頭が漂着しているのを近所の住民が見つけ、漁業関係者によって陸揚げされた。専門家は「珍しい種類で、見つかる寸前まで生きていた可能性も高い。目立つ外傷はなく、国内外の研究分野において非常に貴重な資料になるかもしれない」と注目。26日午前に解剖される予定で、国立科学博物館(東京)の研究者が急きょ函館入りして調査にあたる。

 クジラに詳しい北大大学院の松石隆准教授も駆けつけ、状態を確認。世界で約20種の「アカボウクジラ科の鯨類」とされ、松石准教授の計測では体長6.19メートルの雌だった。生態が不明な種類が多く、学術的に価値があるという。

 陸揚げには重機が使われ、業者によると重さは4〜5トンだったという。漂着の理由について松石准教授は「外部の形態に傷んだ様子はなく、陸揚げ時に相当のガスが出ていたようなので、内臓に何らかの問題があった可能性がある。その影響で弱り、外洋から流されてきたのではないか」とみる。

 24日午後8時ごろ、漂流場所近くで「バシャバシャ」という水面をたたく大きな音を耳にした住民もいる。25日午前6時すぎに現場へ足を運んだ石崎町の小石幸太郎さん(67)は「クジラを目にしたとき、尾びれが少し動いていたような気がする。海はなぎで、雨や風もなかった」と話す。

 松石准教授によると、道内での鯨類の座礁や漂着は昨年69件で延べ73頭。函館近海では、春先の定置網に小型のネズミイルカがよく入るが、今回のような比較的大きなものが打ち上げられることはまれだという。

 26日の解剖調査は、松石准教授が代表を務める「ストランディングネットワーク北海道(SNH)」が主体で実施。種の判別に肉片などからDNAを抽出し、今後の研究に役立てるほか、希少種については死因を詳しく調べ、保全対策に活用する。個体数が多いものについては、漁業施設の近くにどの程度出没しているのか、漁業対象になる魚をどれほど食べているのかを推定し、漁業被害対策に生かす。

 ストランディングネットワーク北海道は、「北海道いるか・くじら110番」を随時設け、情報提供を求めている。TEL090-1380-2336。ホームページもある。

提供 - 函館新聞社




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