道教大・佐々木馨教授「鎌倉仏教の世界」出版

update 2010/8/29 09:32

 道教育大函館校の佐々木馨教授(64)=日本中世宗教史=が、16冊目の単著となる「鎌倉仏教の世界」を山喜房仏書林から出版した。鎌倉時代に奈良・平安の旧仏教がどう復活し、親鸞や日蓮、道元らの新仏教がどう創造され、どのように時代や人々に享受されたかを体系的に論述している。

 新仏教が興った鎌倉時代以降も、奈良・平安仏教の権威や勢力は大きかったという近年の仏教史研究を踏まえて論考した。著書でいう「鎌倉仏教」には、奈良・平安の旧仏教も含まれている。

 前編では旧仏教の動向を踏まえて鎌倉新仏教の誕生を描いた。東大寺再建に尽力した重源、旧仏教の正しさを代弁した貞慶と明恵らの思想を紹介するとともに、旧仏教の比叡山(天台宗)で学び、新しい教えを開いた法然や親鸞、日蓮、道元らの生涯を追った。

 そうして生まれた鎌倉新仏教が、権威ある旧仏教とともにどのような形で中世の人々に受け入れられたかを中編で展開。権力者の源頼朝や北条時頼の信仰の世界、法然に帰依した熊谷直実ら在家信者の動き、日蓮の6人の弟子たちの伝道活動などを詳述した。

 後編では、中世仏教史研究の成果と課題を検証し、鎌倉幕府の宗教政策などから、幕府の体制仏教は反比叡山の園城寺や東寺の勢力であったことなどを論述している。

 人名や難解な用語にはふりがなをつけ、幅広く読まれるように工夫。佐々木教授は「先人の仏教者の生き方は、先行きが不透明で心の癒やしを求めている現代人の道しるべになるはず。そうしたことが著書から伝われば」と話している。改行 A5判、215ページ。定価2415円。問い合わせは最寄りの書店へ。

提供 - 函館新聞社




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