世界的な舞踏家、大野一雄さんが死去。函館出身103歳

2010/6/3
 函館出身で独創的なスタイルで世界的に高い評価を受けた舞踏家、大野一雄さんが1日、呼吸不全のため横浜市内の病院で亡くなった。103歳。

 大野さんは日本体育学校(現日体大)卒業後、体育教師として横浜市の女学校に勤務。その後、モダンダンスの世界に興味を抱き、終戦後に本格的な活動を開始。1960年代には暗黒舞踏創始者の土方巽氏と出会い新たなスタイルを開拓。77年に発表した独舞踏「ラ・アルヘンチーナ頌」で世界的な名声を確立する。

 2003年2月には金森ホール(末広町14)での函館最後の公演で、圧倒的な存在感を光らせ、満員の観衆を魅了した。この時初めて、大野さんの生の舞台を体験した函館バレエアカデミー顧問の佐竹道子さん(71)は「舞踏家として偉大な先輩の姿から、感動と勇気を与えられた。もう一度その雄姿を見たかった」と悼む。

 同じく函館出身の舞踏家で、屋外での個性的なパフォーマンスで知られるギリヤーク尼ケ崎さん(79)=東京在住=は、30年前から大野さんと親交があったという。「1981年に(大野さんが)私のパフォーマンスに足を運んでくれた時に、初めて言葉を交わした。大野さんは“静”、私は“動”と目指す芸術の内容は対照的ながらも精神的に通じ合うものがあり、同郷という共通点を含め共感し合う部分が多かった」と懐かしむ。偉大な先輩の訃報を受け「日本の舞踏の価値を国際的に高めた点でまさしく“巨星”だった。心からご冥福を祈りたい」と話していた。

提供:函館新聞社

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