ナルミが経営破たん 自己破産申請へ

 【乙部】建設資材系商社のナルミ(乙部町館浦、古畑篤社長)が30日、資金繰りに行き詰まり事実上倒産した。5月中旬にも裁判所に自己破産を申請する。3月末時点での負債総額は約45億円。同社を含むグループ7社の負債総額は約70億円に上るが、今後の調査で金額が膨らむ可能性がある。同日、記者会見した古畑社長は、景気悪化に伴う売上低迷、取引先に対する多額の貸付金が焦げ付いたことが原因と説明したが、金融機関や取引先企業は、商取引の実態が無い融通手形の振り出しや不透明な資金の流れがあると激しく反発。今後の破産手続きは難航も予想される。

 古畑社長、斉藤信明専務、土谷修一弁護士が、同社で開いた記者会見で明らかにした。古畑社長は、景気低迷による業績悪化、関係企業に対する融資の焦げ付き、工事発注に伴う前渡金などの資金回収が困難になったことが破たんの原因と述べた。具体的な融資先、取引先、金額などの明言しなかった。

 同社によると、資金繰りの悪化に伴い、商取引の実態が無い融通手形を企業間で振り出していた。業績が悪化し始めた2007年ごろから常態化したという。振り出し先の企業が金融機関などで現金化したが、新たな融通手形で資金を確保するという自転車操業に陥った。手形の一部は金融業者などに流出し実態がつかめないという。

 同社は1912年創業。59年に会長の鳴海亘氏が乙部製材として法人化。90年に社名変更。木材や骨材などの資材販売、建設、健康食品販売など多角化を進め、檜山管内最大の企業グループに成長。08年度の売上高は50億円弱。健康食品などの通販事業部は1日、同社の鳴海周平常務が設立する新会社が事業継承する。

 グループ会社は、乙部町の丸善産業、丸協石油をはじめ、江差町や八雲町に建設会社や採石会社など7社ある。丸協石油と丸善産業は事業継続の方向。同社とグループ会社7社の従業員数は約60人。継続企業を除く約45人は30日付で解雇。建設部門では150人規模の季節労働者が雇用先を探している。

 また、道南では建設業者を中心に、同社の傘下にある企業も数十社程度ある。同社が1回目の不渡りを出した3月30日以降、関係先の3社が事実上倒産。事業休止や廃業した企業も複数ある。1億円超の工事代金が支払われていない下請企業も複数あり、連鎖倒産の拡大が懸念されている。

 30日には乙部町が、寺島光一郎町長をトップに課長級職員で構成する「緊急経済雇用対策会議」を設置。離職者の再就職支援や生活安定対策に当たる。檜山支庁でも高橋則克支庁長をトップに「ナルミ関連経済・雇用緊急対策会議」を設置し、連鎖倒産防止や雇用対策の検討に入った。江差町も4月21日に対策本部を立ち上げている。

update 2009/5/1 09:20
提供 - 函館新聞社


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