「迷子ベル」実用新案登録…かとう時計店

2008/8/31
 【木古内】木古内町本町47、かとう時計店(加藤幸矢店長)の代表商品で、山菜採りの際のクマよけにも活用されている「迷子ベル」がこのほど、特許に当たる実用新案登録となった。特許庁の認可を受け、今後は商品製造(技術)・販売のアイデアの独占権が与えられ、営業や広報活動にも有利となる。加藤店長(64)は「顧客と意思疎通を図りながら、開発に取り組んだ努力がこのような形で評価され、本当にうれしい。いつも応援してくれた家族や地域に感謝しながら、今後も皆さんに必要とされる商品を提供していきたい」としている。

 特許は13日付で、同店には28日に郵送で登録証書が届いた。

 ベルは、再利用のペットボトル(280ミリリットル)に小型音響装置を独自の技術で組み込み、キャップを閉める度に大音量のメロディーが無作為(6曲)に流れる仕組み。開店5年後の1975年に開発したラジオ型ベルを母体に、「コンパクトで持ち運びに便利なものを」「ただの大音量だけではなく遊び心もほしい」といった購入者からの意見、要望を参考に、製品開発に励んできた。

 ペットボトル型は3年前から販売し、山菜採りシーズンには「クマよけベル」の愛称で人気を博し、最近では防犯や自然災害時の救命グッズとしても注目を浴びている。

 「命を預かったという気持ちで、一切手を抜かずにつくっている。知恵も重ねた」と言うように、年々機能性は向上し、最新作は誤作動防止や衝撃防止のクッション加工(発泡スチロール)が施されている。医薬品や食料を入れることができる空間もあり、確かな技術とともに柔軟な発想が特許の原動力ともなった。

 加藤店長が商品開発に励む様子を見守ってきた妻蓉子さん(61)は「商品の売れ行きが芳しくないときも、笑顔を絶やさず、いつも前向きだった。特許はお客さまと築いてきた信頼の結晶だと思いたい」とほほ笑む。

 加藤店長は「特許がゴールではなく、この貴重な権利をどう生かすかが課題」と意気込み、「この特許で、小さな町からでも、頑張れば何でも出来るということが証明された。『木古内頑張ろう!』の合言葉で、このベルを生かして郷土を元気づけたい」と張り切っている。

提供:函館新聞社

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