ハンノキハムシ大発生、シラカバに食害

2008/8/28
 函館、北斗両市、七飯町などの広い範囲で、樹木の害虫「ハンノキハムシ」が大発生している。公園や学校などに植えられているシラカバの葉までが食害に遭い、葉は茶色になり、木の周辺の地面には成虫が密集している。食害にで木が枯れることはほとんどないが、本来は青々とした葉が輝く時期であり、異様な光景が広がっている。

 七飯町在往の日本花の会研究専門委員、浅利政俊さん(77)が7月下旬、北斗市押上の市総合運動公園にある約100本のシラカバの葉がほとんど褐色になっていることに気づいた。8月上旬にかけ3市町にある公共施設などの公園樹を観察したところ、各地でシラカバの葉が葉脈だけになり落葉するなどの現象が発生していることが分かった。同公園のシラカバ並木の葉や周辺の地面には黒銅色で、体長約6―7ミリのハンノキハムシの成虫が大量に群がっていた。

 大沼国定公園では今月下旬からハンノキなどの落葉が目立ち始めた。「急に寒くなったとはいえ、葉を掃除したらハンノキハムシの成虫が多くいた」と話す。

 道立林業試験場によると、ハンノキハムシは食葉性害虫とされ、ハンノキやケヤマハンノキに多く見られる。地表で越冬し、本道では5月ごろから現れ産卵し、7月に幼虫が出現。地中で蛹化(ようか)し、夏に新成虫が羽化する。ことしは千歳市の支笏湖周辺で多く発生し、ハンノキの葉が赤く枯れる被害が発生している。同道南支場では「何年かの周期で発生するが、シラカバの葉が食害に遭う例はあまり聞かない」という。

 浅利さんは都市部の建物や公園にあるシラカバが被害を受けており、調査を進めることにした。「暖冬が続き、地面が暖かく、越冬した成虫が多かったのかもしれない。また、虫を食べる鳥が減ったなどさまざまな要因を調べなければならない」とする。

 同支場によると、被害は1、2年で終わるという。浅利さんは「人畜への影響はなく、神経質になることはないが、大量発生は自然からのメッセージ。幼虫期であれば薬剤で駆除できるため、実際に虫を飼育してライフサイクルを明らかにし、初期の対応で被害の拡大防止に役立てることを目指したい」と話している。

提供:函館新聞社

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