函館市の公共工事、来月から事前公表廃止

2008/8/25
 函館市発注の公共工事で、複数の業者が最低制限価格と同じ入札額を入れ、くじ引きで落札業者を決めるケースが頻発している。公共工事の先細りや景気低迷を受け、何としても工事を受注しようとする業者の意向があるとみられる。市は、過度な競争が業者の経営を圧迫する懸念があることなどから、9月の入札公告分の工事から最低制限価格の事前公表を取りやめる。

 市は本年度から、指名競争入札を原則として廃止し、地元に本社や支社を置く業者を対象とした条件付き一般競争入札に改めた。談合防止の観点から、入札前に予定価格と、工事を完遂するために最低限は必要と積算した最低制限価格を示し、この範囲で業者は応札している。

 ただ、格付けがC、Dランクの中小企業が対象の工事を中心に、最低制限価格で入札する事例が多くみられるという。例えば予定価格が300万円、最低制限価格が200万円とすると、200万円の入札がそろう結果が頻発。

 市調度課によると、7月に入札が行われたとび・土工工事では、応札した10社とも最低制限価格を入れ、抽選となった。8月の町会館水洗化改修工事も6社中6社、河川改修工事は6社中5社が最低制限価格と同額で、こうしたケースは一例という。

 最低制限価格での入札は、市にとっては最安値で工事を発注できるが、同課は「無理をして最低価格で工事を取ると、経営の圧迫のほか、品質の確保や工事の出来などに影響を及ぼす恐れがある」と説明する。このため、9月の公告分から最低制限価格の事前公表を取りやめることを決めた。業者の見積もり能力を高め、適正な競争に導く狙いで、最低制限価格は入札後に公表する。予定価格の事前公表は従来通り続ける。

 市内のある建設業者は「公共工事の利幅は工事の種類や規模、落札価格、資材の調達などでそれぞれ違う。うまくいけば1割ほどだが、赤字を覚悟で安い価格で受注することもある。業界はどこも厳しい」と語る。

 過当競争は、予定価格に対する落札価格(落札率)の低下にも表れている。市調度課発注の2007年度の全工事落札率は91・45%だったが、08年度は7月末現在で87・38%に低下している。04年度は94・22%、05年度は93・85%、06年度は93・62%で、年々低くなっている。

提供:函館新聞社

ニュース一覧へ戻る



函館ニュースヘッドライン



(C)e-HAKODATE