函館駅の騒ぎ 対応混乱…銃撃戦まで16時間野放し

2007/9/14
 函館市昭和町で11日未明、長野県佐久市、暴力団員高成仁(こうせいじん)容疑者(52)が警察官と銃撃戦となり、死亡した事件で、高容疑者とみられる男が事件前の10日朝、JR函館駅のホームで利用客に拳銃を突きつけるなどした騒ぎの後の状況が、13日までに明らかになった。警察側が「銃器所持の不審者」情報を得たのは約1時間後。結果的に同駅を出てから約16時間にわたり、拳銃を携行した凶悪犯が野放しになった格好で、目撃から通報、関係機関の対応に至るまで課題を残した。

 JR北海道函館支社によると、男は10日午前8時20分ごろ、同駅5番ホームで函館市内の旅行会社の男性2人に「(列車に)乗れ」と脅し、拳銃のようなものを背中から突きつけた。2人は特急列車に乗り込み、車掌に事情を説明。男性2人は直後に降車して車掌と付近を探したが、すでに男の姿はなかった。

 車掌は同社指令センターを通じて道警函館方面本部鉄道警察隊に電話で連絡したが、当時は不在だったという。同駅職員が同8時25分ごろ、男が改札から出るのを目撃している。

 一方、函館中央署によると、広島県の男性会社員が同8時20分ごろ、男がホームのベンチでセカンドバッグに入った拳銃のようなものをちらつかせているのを目撃。この男性会社員は同9時35分ごろ、函館西署函館駅前交番に届け出た。警察側はこの時点で、初めて「拳銃」を持った不審者の存在を認知した。

 直ちに函館西署員ら12人が駅の構内や周辺を同11時ごろまで捜索したが、男の発見には至らなかった。12人の警官は防弾チョッキの着用など特別な銃器対策を取らず、管内に緊急配備も敷かれなかったという。同本部は「結果的に目撃情報のあった男が高容疑者の可能性がある」とした上で、「(対応は)当時置かれた状況での判断だった」としている。

 函館中央署は13日、札幌で行われた高容疑者の司法解剖の結果を発表。死因は心臓と胸部大動脈の銃創による出血死と判明。銃創は左胸から斜め下の背中にかけての1カ所で、高容疑者が応射した警察官よりも低い位置にいたことが明らかになった。

提供:函館新聞社

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