救急車出動15年ぶり減…06年市消防本部まとめ

2007/2/1
 函館市で昨年1年間に救急車が出動した件数が、15年ぶりに前年を下回ったことが31日、函館市消防本部のまとめで分かった。同本部救急課は「暖冬傾向で雪道の転倒事故が少なかったのに加え、交通事故の減少などの要因が重なったのでは」と分析している。

 同課によると、昨年の出動件数は1万3481件で、前年に比べ13件減少した。1999年に1万件の大台を突破後、高齢化に伴い右肩上がりで増加。13年連続で前年を更新し、2005年は救急隊発足以来、過去最多の1万3494件を記録した。

 出動の内訳を見ると、大幅に減少したのは「交通事故」と「一般負傷」で、それぞれ111件、34件の減。道警函館方面本部交通課によると、同市内での06年の交通事故発生件数は1671件で、前年より28件少なく、死傷者も116人減った。これに伴って救急車の事故現場への出動も減った格好だ。

 一般負傷の減少理由は「昨年は暖冬で、雪道や凍結した路面で転倒してけがをするケースが少なかった」(同課)のが一因。函館海洋気象台によると、同市内の06年の降雪日数は104日で、大雪に見舞われた一昨年より23日少なく、降雪量も100a以上の差があった。

 一方、病院間の転院搬送は前年比124件増の1807件となり、大幅に増えた。同課は「昨年、慈愛会病院の閉鎖で、入院患者を救急車で計93件搬送したためでは」と説明。また、急病人の搬送人員が18人減少したのは、一昨年に流行したインフルエンザの影響もあるとみられる。

 市消防本部は昨年4月、近年の需要増を踏まえ、新たに救急課を設置。現在、救急車13台(予備車3台を含む)を配備し、1日平均約37件、39分に1回の割合で出動している。「多い日には50件を超すこともある」(同課)という。1年間で市民の23人に1人が救急車を利用している計算で、このうち約半数を高齢者が占めているのが実情だ。

 同課は「救急隊が市民から信頼されている証し」とした上で、「重篤患者の搬送は一分一秒の遅れが致命的な結果を招くこともある」と話し、救急車の適正利用を呼びかけている。

提供:函館新聞社

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