函館公園の観覧車は現役”国内最古”

update 2007/1/18 13:42

 函館公園「こどものくに」(函館市青柳町17)の観覧車が、国内で稼働する現役の観覧車として最古であることが、観覧車研究家福井優子氏(59)=東京都在住=の調査で判明した。関係者や当時の新聞報道などを基に全国の情報を精査。同観覧車は1950(昭和25)年に七飯村(当時)の大沼湖畔東大島に設置され、65年に現在地に移設されたことを特定した。福井氏は「構造がシンプルで部品交換も簡単だったと思うが、現存するのは管理者のおかげ。古い物をいつまでも大切に使うことは素晴らしい」と話している。

 福井氏は「観覧車通信」東京支局長の肩書きを持ち、「観覧車物語」(平凡社、2005年)の執筆に当たり、国内初の観覧車を調べた。同書では、従前の1907年説を覆し、「06年の大阪博覧会」で設置されたものが国内初の観覧車であると紹介。刊行後、読者からの反響もあり、現役最古の追跡を始めた。

 全国約200基の観覧車をリストアップし、設置年が不明のもの、小型で古いものを中心に調査を開始。函館公園も候補に挙がったが、開園時に設置記録がなく保留とした。その後、兵庫県姫路市や京都市など各地で調べたが、いずれも最古ではなかった。

 函館を再検証すると、大沼からの移設説が浮上。七飯町での聞き取りや、渡島支庁などで資料を集めたが確証は得られなかった。同時に国立国会図書館で「函館新聞」(当時)のマイクロフィルムを調べ、50年8月5日付の同紙に「空中遊覧車」の記述を発見。製造年が判明した。

 福井氏は「現役最古については資料が少なく苦労した。それらしき観覧車が分かると現地に足を運んだり、マイクロフィルムで当時の新聞をチェックしたりと大変でした」と振り返る。

 こどものくにを管理運営する北海興業(加藤絋捷社長)によると、いすの部分は部品がないため手作りで替えてあるが、メンテナンス状態は良好。過去に停電で運転できなかったことがあるが、故障はないという。

 同社の熊谷有未係長(30)は「古い古いと言われ続けていたが、最古というお墨付きでレトロを売りにできる。幼児ら小さな子が楽しめる場所だが、観覧車は大人でも乗れます」と話している。

 函館公園「こどものくに」 1954年7月に北洋漁業再開を記念し、同公園と五稜郭公園で開かれた北洋博覧会で使用された遊具を活用して56年5月に現在地で開園。園内のメリーゴーラウンドや飛行塔は当時から稼働している。観覧車は、直径10メートル、高さ12メートル。箱形でなく「長いす式」であるのが特徴で、2人乗りのベンチが8台ある。製造業者は不明だが、アメリカ製の移動式観覧車には同タイプのものがあるという。

提供 - 函館新聞社



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