新川汲トンネル検討委、他の候補地検討も

2006/7/31
 基準値を超える重金属が含まれた掘削土砂の最終置場をめぐり、工事が中断している道道函館南茅部線「新川汲トンネル(仮称)」について、専門家らが総合的に検討する「第1回新川汲トンネル検討委員会」が30日、函館市亀田福祉センターで開かれた。函館土木現業所が最終置場に予定している函館市庵原町の採石場跡地について同委員会は「環境への安全面では問題ないが、地元住民の十分な理解が得られているとは言えず、他の適地を検討することも必要」と示唆した。

 同トンネル工事は2003年10月に着手されたが、04年3月以降、掘削土砂から基準を超えるフッ素、鉛、ヒ素の3種類の重金属が確認されたため、当初仮置場としていた函館市庵原町の採石場跡地を最終置場に変更することを計画。3度の住民説明会を開いたが折り合いがつかず、全体延長2056メートル中約1500メートルまで堀削が進んだところで、5月8日から工事が中断している。

 検討委員会は函館工業高等専門学校環境都市工学科の韮沢憲吉教授を委員長に、大久保孝樹教授、佐野佶房名誉教授、室蘭工業大学工学部建設システム工学科の木幡行宏助教授、吉田英樹講師で構成。これにオブザーバーとして函館市、亀尾町会、新函館農協などから8人が参加した。事務局として函館土現からも10人が出席。また公開で行われたため、地元住民ら15人も傍聴した。

 委員会では科学的見地から周辺環境に与える影響を検討。土壌汚染防止法に準じ、遮水シートなどで対策を講じるため、近くを流れる汐泊川を汚染する危険性はないことなどを確認。その一方、「周辺農家への風評被害が出ている」「道側からの事前の説明が不足している」などの不満の声がオブザーバー側から続出したことから、韮沢委員長は「住民の不安を取り除くためには、時間と回数を重ねて意見交換することが必要。合意が得られない場合も考え、他の候補地の選定も検討すべき」との見解を示した。これに対し函館土現の櫻井芳典副所長は「函館市と連携を取りながら、他に適地がないか検討したい」と答えた。

 オブザーバーとして参加していた亀尾町会の田村冨作会長は「他の候補地の示唆はありがたい。住民の声が届くことを期待したい」と話していた。第2回検討委員会は8月中旬以降に行われる。

提供:函館新聞社

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