炭効がEM菌で五稜郭公園の小堀の浄化成功

update 2005/11/7 11:15

 函館市のシンボル、特別史跡・五稜郭公園。二の橋を渡り、左にある小堀は、以前から水質汚濁がひどかったが、最近は生まれ変わったように水が透明になり、肉眼で底が見えるほど堀が美しくなった。水質浄化をボランティアで成功させたのは、函館市末広町の竹炭塗料製造販売業「炭効」(信田浩次社長)。有用微生物群「EM菌」を利用しての結果に「小堀は水の流れがなく、浄化は難しいといわれたが、驚くほど成功した。次は本堀で行いたい」と意気込んでいる。

 作業は、文化庁、函館市商工観光部などの認可を得て実施。同社は「本堀で行いたい」としていたが、市は「まずは、小堀で実験の成果を出してほしい」と要望。7月27日から取り組んだ。

 堀の水量は推定約450トン。生態系の底辺である、微生物の善玉菌を増やす役目をするEM菌を投入することにより、落ち葉など腐敗がたまったヘドロを自然浄化し、きれいな水質にする計画。菌の活性水温などの都合で、10月末までに結果を出さなければならなかった。

 開始して間もない頃は、水の色は茶色のまま。「自分たちのやることを信じるしかない」と作業を続けた。使用したEM菌活性液は2775リットル、EM菌を団子状にしたものは1128個、有用微生物が生成する酵素の働きを強化するEM―2は15リットルに及んだ。ポンプを使い、水に流れを与える作業もした。

 底部のヘドロの上を覆う、木の堆積(たいせき)層を除去するため、許可を得てボートを出し、取り出した。さまざまな苦労の末、ヘドロに対しEM菌が作用しやすくなり、水の色は濃い茶色からグレー、薄緑に変わっていった。

 きれいな透明に変わったのは9月末。作業を続けてきた富原正樹さんは「突然変わったような感じだった」と振り返る。堀にいたカエルやカメには影響はなく、「我々も驚くほど、すべてが成功に終わった」と信田社長とともに喜ぶ。

 水質の調査は、環境科学研究所(西桔梗町)に依頼。水の汚染度を調べる、汚濁指標である化学的酸素要求量(COD)など、あらゆるデータが改善された。作業工程や、得られた水質データは、市土木部緑化推進課に提出した。

 「EM菌作成の際、バイオ生成過程の中で、オリジナルバイオの生成過程も見つけた。次につながる大きな発見もあり、本堀浄化も成功するだろう」と信田社長。小堀には以前のようにカモの姿も見られるようになり、繁殖を行うものとみられる。毎朝、ウオーキングを楽しむ市民も、生まれ変わった堀の輝きに、驚きの声を上げているという。信田社長は「データや市民の反響を見て、市が本堀への取り組みにゴーサインを出してくれれば」と願っている。

 ◆EM菌 人間や動物、自然環境に対して無害で、有益な働きを持つ有用微生物群の英語名(Effective Microorganisms)の頭文字。80種類以上の微生物で作られる。農業分野の土壌改良用や、土木建築、医療などに用いられ、札幌では生ごみの発酵肥料作りでも活用されている。

提供 - 函館新聞社



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