中華会館が今シーズン開館休止

update 2005/5/25 10:07

 社団法人函館中華会館(陳上梅理事長)は、函館市の西部地区にある函館中華会館(大町1)を今シーズン開館しないことを決めた。開館休止は1982年に一般公開を始めて以来初めて。入館者数の落ち込みに加え、建物の老朽化、日中関係の悪化などが影響しており、来年以降の対応も未定となっている。築95年の会館は、建築当時の姿で現存する日本唯一の純中国様式の建物。市民や観光客からは、貴重な文化財の公開休止を惜しむ声が聞かれそうだ。

 同館は1910(明治43)年、函館在住の華僑が資金を出し合い、中国から大工や彫刻師、漆工らを呼び寄せて建設。くぎを一本も使っていない純中国式のレンガ造り平屋建てで、2001年には国の登録有形文化財に指定された。

 内部には朱漆や金ぱくが施され、天井からはランタンがつるされている。正面中央に三国志の英雄、関羽をまつった関帝壇があり、四隅の部屋には建築当時中国から運び込まれたテーブルやいす、掛け軸、つぼなどが置かれている。かつては、函館華僑が冠婚葬祭や会議などで使用。現在は、函館華僑総会(陳上梅会長)が中心となり、維持・管理に務めている。

 一般公開は、日中国交正常化を記念して1978年に3日間無料開放したのが始まり。82年からは、入館料と開館期間を設けた。建物の老朽化を理由に5年ほど前からは、公開期間を約3カ月半に短縮していた。

 入館者数は、1990年前後のピーク時の年間8万人から、近年は7000人にまで落ち込み、入館料収入で建物の維持・管理ができない赤字状況にある。

 また、中国関連施設に対しては、昨今の日中関係の悪化を受けた嫌がらせなどが懸念され、同館へも道警から注意するよう働きかけがあった。

 陳理事長は「(開館中止の)決定的な理由は見つからない」としながら、「(日中関係の悪化は)気分的によくない。心にわだかまりがある中、心配しながら無理して開ける必要もない」と判断、市や関係機関には開館休止を伝えた。

 来年以降の方針は未定。同館は「祖先が残した宝物。先祖の汗の結晶だから守らないではいられない。ただ、財力がないと守り切れるかどうか」と、頭を痛めている。

提供 - 函館新聞社



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