「松前神楽」が国の重要無形民俗文化財に文化審答申

update 2018/1/19 22:57


 国の文化審議会は19日、道南地域を中心に北海道地域に幅広く伝わる伝統芸能「松前神楽」を重要無形民俗文化財に指定するよう、文部科学相に答申した。近く答申通り指定される見通し。指定されれば、道内ではアイヌ古式舞踊に続き2件目となる。全国では6件が答申され、国の重要無形民俗文化財は合わせて309件となる。

 松前神楽は、1674年に初めて松前町の松前城(福山城)内で湯立神楽が行われのが起源とされ、松前藩主が寄進した獅子頭も現存することから、松前藩との深い関わりのもとで発展したと見られる。現在は渡島地方を中心に、桧山地方や後志地方、さらに留萌地方の小平町にも伝承され、各地の約120に及ぶ神社の例祭や新年祭などにおいて神社祭殿で演じられるほか、厄除け祈願や新築祝いなどの依頼に応じ、個人宅でも行われる身近な存在となっている。「採物舞(とりものまい)」「巫女舞(みこまい)」「湯立神事(ゆたてしんじ)」「獅子舞」をそろって伝承する稀有な神楽であり、神職による神楽には伝承例の少ない「千歳(せんざい)」「翁(おきな)」「三番叟(さんばそう)」を伝える点などに特徴がある。

 1958年には北海道指定無形文化財に指定され同時に保持者12人が認定されたが、2008年に最後の保持者が亡くなり指定は解除。同年、保護団体として連合保存会と傘下4団体を明記することで道無形民俗文化財に指定された。その後、国の重要無形民俗文化財指定を目指し、14年から道教育庁が中心となり、松前神楽の歴史や特徴などをまとめた報告書を作成し、17年5月に文化審議会に提出。今回の答申につながった。

 道南各地の関係者は今回の報を受け、あらためて伝統文化を守り伝承することの重要性を実感している。

 松前神楽函館連合保存会会長で函館護国神社(函館市青柳町)の大橋東城宮司は「道南で独自に発展していった神楽の価値が認められたことは大変うれしい。地域に愛される伝統文化として、今後もしっかりと伝承していきたい」と気持ちを引き締める。松前神社(松前町松城)の木田裕教宮司は「1999年に先代から宮司を引き継いで神楽に取り組んでいるが、国に認められたことを誇りに思う」と話す。

 木古内町教育長で佐女川神社(木古内町木古内)の野村広章宮司は「国から日本を代表する文化の一つと認められたということで、地域にとっての誇りにもなるのでは」と期待。福島町松前神楽保存会長で福島大神宮(福島町福島)の常磐井武典宮司は「国指定の文化財という冠がつくことで、神楽を見る人々の視点も変わってくるのではないか。神楽の内容も今まで以上に充実させなければと身のひきしまる思いだ」と力を込める。

 道教育庁生涯学習推進局文化財・博物館課文化財保護グループの兼廣信也主査は「悲願であった重要無形民俗文化財指定に前進したことは大変にうれしい。道としても、地域に根付いた貴重な文化をしっかりと支えていきたい」と話している。

提供 - 函館新聞社

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