大間原発訴訟口頭弁論 函館市、原告適格めぐり反論 「自治体の存立権 人の生命に匹敵」

update 2014/10/30 10:11


 【東京】函館市が国と電源開発(東京)を相手取り、大間原発(青森県大間町)の建設差し止めや原子炉設置許可の無効確認を求めた裁判の第2回口頭弁論が29日、東京地裁(増田稔裁判長)で開かれた。市に原告適格(=訴える資格)がないとする国の主張に対し、市側は「自治体の存立維持権は、私人で言えば生命に匹敵する重要な利益。原発事故はこれを半永久的に侵害する」などとして、原告適格が認められると反論した。

 訴状によると、市は大間原発で過酷事故が起これば壊滅状態に陥るとし、地方自治体の存立を維持する権利に基づき、原発の差し止めを求める資格は市にもあると主張。国に対して原子炉設置許可の無効を求めるとともに、市が同意するまで建設停止を命ずるよう求めている。電源開発に対して建設の差し止めを求めている。

 7月に開かれた初弁論では国側が「地方自治は函館市の主観的な権利として保障されているものではない」などとして、原告適格を欠くと主張。これに対し市は準備書面で、市が半径30`圏内のUPZ(緊急防護準備区域)の範囲内に含まれることから、「原発事故でその存立維持に極めて重要な影響を受けることは明らか」などと反論した。

 第2回弁論では、市側の弁護団が約15分間プレゼンテーションを実施。市が訴えの根拠としている地方自治体の存立権について「地方自治の根幹にかかわる。(事故が起きれば)自治体そのものが事実上廃止されるに等しく、司法権の対象となるのは当然」と反論したほか、福島第一原発事故で被害を受けた周辺自治体の福島県浪江町、南相馬市の実例を挙げて説明した。

 一方、電源開発は市の原告適格がない理由として「大間原発は原子炉設置変更許可申請の準備を進めている段階で、試運転までには少なくとも数年を要する。現時点では権利内容が不明確かつ未成熟の状態」と主張した。市はこれに対し、「電源開発の主張を認めると、原子炉の設置変更許可が下りている川内原発(鹿児島県)以外の差し止め請求はすべて不適法となる」などと指摘し、同社に釈明を求めた。

 次回の口頭弁論は12月25日に開かれる。

提供 - 函館新聞社


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