大間原発差し止め訴訟「世論の動向見極める」

update 2013/5/9 10:22


 函館市が大間原子力発電所(青森県大間町)の建設差し止めを求めている問題で、工藤寿樹市長は8日、差し止め訴状原案を作成した弁護団と会談した。市長は地方自治体の存立権や、市が建設に同意する必要性に触れた訴状内容を評価するとともに、提訴のタイミングとして、原子力規制委員会が7月に施行する新たな規制基準にかかわり、「世論の動向を見極めた上で判断したい」と述べた。また早ければ6月下旬にも、福島第一原発の周辺自治体を視察する意向を明らかにした。

 市は昨年12月に訴訟準備経費約2300万円を計上し、1月に弁護団10人と契約。3月末に原案=別表=をまとめて以降初めての懇談で、弁護団代表の河合弘之弁護士(東京)、海渡雄一弁護士(同)ら5人が市役所を訪問、約1時間協議した。

 河合弁護士らは訴状作成にあたり、今年2、3月に福島県浪江町と南相馬市を視察したと報告。「本当に原発事故が起きると、自治体の存立が危うくなる。自治体にも人格があり、市民の生命や身体を守る権利と義務がある」と指摘。

 さらに函館市特有の事情として、大間原発で事故が起きた際に避難ルートが国道5号しかないとし、「事故が起きたら国道5号は完全に渋滞で動けなくなり、車が乗り捨てられる状況になることを確信した」と述べた。

 会談終了後、河合弁護士は自治体が原告となる差し止め訴訟を「極めて画期的。これまではすべて市民が原告で、函館市規模の都市が起こす意義は非常に大きい。裁判所も決して軽視しないだろう」と評価。海渡弁護士は原発事故が起これば自治体活動全体が危機に瀕(ひん)するとし、「壊滅的なことが起きることは、浪江町や南相馬市の視察で裏付けることができた」とした。

 工藤市長は6月の定例市議会終了後をめどに浪江町や南相馬市を視察するとし「事故の状況や、30キロ圏内としてどういう被害があったのか自分の目で確認したい」と表明。提訴時期については、原子力規制委員会が7月に示す新たな規制基準の動向を見極めるとする従来の方針を強調。「新基準でどうなるか、世論の動きを見極めたい。(提訴するとなれば)7月以降となるのは間違いないが、時期を固定化して考えていない」と述べるにとどめた。

提供 - 函館新聞社


前のページにもどる  ニュースをもっと読む


ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです