函館市中央図書館 所蔵資料デジタル化進む

update 2012/7/17 11:17


 函館の歴史を後世に―。函館市中央図書館(平沢輝茂館長)では、館内に眠る貴重な資料をデジタル化する取り組みが行われている。種類は古地図や古写真、絵はがきなどで、その数は推定数十万点に上る。道内市町村では函館の取り組みが最も本格的で、地元の歴史を受け継ぐ壮大な事業として着実に進んでいる。

 「カシャ、カシャ」。ひっそりと静まりかえる奥の部屋の中で、カメラのシャッター音が響き渡る。被写体は古ぼけた書物など。頭上から撮影した画像を同館の職員がパソコンでチェックしながら保存していく。1冊、そしてまた1冊―。地道な作業が続く。  同事業は「デジタルアーカイブ事業」と呼ばれる。幕末や明治期といった古い資料の保存継承と公開の充実を目的に、2003年度から始まった。

 対象物の多くは、05年に閉館した旧市立函館図書館(青柳町)の初代館長、岡田健蔵(1883〜1944年)が集めたとされる。書庫が当時珍しい鉄筋コンクリートだったため、34年の函館大火では損失を免れるなど、良好な保存状態で残されてきた。

 点数は古地図と古文書を合わせて5350点。ポスターは4000点(推定)で、絵はがきは数万枚とされている。古写真に限っては量が膨大なため、「把握しきれない」(同館)という。

 道内では北海道立図書館(江別市)などがデジタル化に着手。市町村単位では函館が最も本腰を入れており、一昨年にオープンした箱館奉行所(五稜郭町)は市立図書館蔵の古写真を基に復元した。

 作業に当たる職員の奥野進さんは「函館だけでなく全国各地の資料が集まっている。古資料を保管する道内の図書館で、古地図とポスターは函館が一番多い」と説明する。

 事業には公立はこだて未来大が当初から協力。2007年には同大が開発したデジタルカメラを駆使する古文書撮影機を設置し、作業の効率を大幅に向上させた。同大の川嶋稔夫教授は「地域貢献につながる上、大学の研究開発にも役立つ。今後もできる限り協力していきたい」と話す。

 デジタル化済みのものは3月現在で、絵はがきと古写真が1万5000枚程度。ポスターは約2500点で、古地図・古文書は1250点となっている。一部は定期的に図書館や博物館などでパネルにして展示しており、普段見る機会の少ない貴重な資料に市民から好評を集めている。

 「この事業は大変価値のあるもの。これからも関係団体と力を合わせながら函館の歴史を未来に残していきたい」と平沢館長。奥野さんは「見たことのない資料が館内の奥にまだまだ眠っている。終わりのない事業だが、夢がある」。

提供 - 函館新聞社


前のページにもどる  ニュースをもっと読む


ご注意:
●掲載している各種情報は、著作権者の権利を侵さないよう配慮の上掲載されるか、又は、各情報提供元の承諾の元に掲載されています。情報の閲覧及び利用については「免責事項」をよくお読み頂いた上で、承諾の上行って下さい。
●掲載中の情報の中には現在有効ではない情報が含まれる場合があります。内容についてはよくご確認下さい。

ページ先頭へ

e-HAKODATE .com
e-HAKODATEは、函館市道南の地域情報や函館地図、旅行観光情報、検索エンジンなど、函館道南のための地域ポータルサイトです