「タマフクラ」作付け減少

update 2012/7/8 11:15


 国内最大級の大豆「タマフクラ」の作付面積が、道南で減少している。作りづらい上、売り値が高いため販路が定着しないためだ。桧山管内での減り方が著しく、ピーク時の4分の1以下に。粒が大きく甘みも濃厚と評価は高いが、道南唯一の品種が先細りの一途だ。ブランド化の道を閉ざさないためにも、生産振興へ次の一手が急がれる。

 タマフクラは2008年から道南で栽培が始まった。渡島総合振興局と桧山振興局によると、道南の作付面積は2年目の09年に57・65ヘクタールだったのに対し、12年は39・4ヘクタールに減少。特に桧山はピーク時(09年)の42・95ヘクタールに比べ12年は9・4ヘクタールに激減した。

 桧山での作付け減の要因として、@一般的な白目大豆トヨムスメなどに比べ収量が安定しないA競合する光黒大豆の値上がりにより、そちらに作付けがシフトB発芽不良や枝が太くて機械収穫に手間が掛かるなど、他の品種に比べ栽培管理が難しい―ことが挙げられる。

 桧山管内の農家(62)は「ダイズシストセンチュウ抵抗性がなく、発芽不良も起こるのが原因。他にはない特色のある豆なので残していきたいのだが…」と苦しい胸の内を明かす。

 渡島、桧山の両農業改良普及センターと道総研道南農試は昨年3月、発芽不良の対策をまとめたパンフレットを作り、高品質安定生産に向けて懸命だ。

 加工メーカーには通常の大豆と異なる用途開発や価格設定が求められ、使用に二の足を踏むケースが少なくないという。

 一方、渡島の作付面積は09年の14・7ヘクタールから年々増加。12年は八雲町落部地区、北斗市、森町で計30ヘクタールと前年から横ばいで推移。渡島農業改良普及センターによると、渡島での生産基盤は定着しつつあり、「収穫期間が11月に入ってからの約2週間と短く、コンバインの稼働能力に限界がある。販路の確保も合わせ、これらの問題が解決に向かえば、漸増の可能性がある」という。

 国や道は、大粒という品種特性を農家にPRし作付けを促すソフト支援にとどまり、政策的な下支えに乏しいので面積が伸びないとの見方も。農業関係者からは「このままでは道南からタマフクラが消えてしまう。作付け減に歯止めを掛けるため生産から販売までが一体となり、道南ブランドとして育てていく動きが必要」との指摘も出ている。

 ■タマフクラ 中央農試(空知管内長沼町)が「新丹波黒」と「ツルムスメ」を交配・育種し、2007年に誕生。粒は通常の大豆の1・5倍もある。晩生種で、秋の訪れが遅い道南が栽培適地。乾燥大豆だけでなく、エダマメでも食べられる。道南での栽培は今年で5年目。

提供 - 函館新聞社


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