「海炭市叙景」講演 映画見て父と寄り添えた 佐藤泰志長男が来函

update 2011/11/4 12:41


 函館出身の作家、佐藤泰志(1949―90年)の小説「海炭市叙景」の映画ソフト発売記念の講演会とパネル討論が3日、函館市大森町のサン・リフレ函館で開かれた。泰志の長男、綱男さん(31)も静岡市から来函し「父が亡くなってから、ずっともやもやした思いだったが、試写会後から、きょうだいともに心が晴れやかになった。映画に携わってくれた多くの人にお礼を述べたい」と笑みを浮かべた。

 映画「海炭市叙景」製作実行委の主催で、約100人が来場した。会場は、泰志が卒業した旭中学校跡で目の前に広がる津軽海峡の潮騒を聞きながら、関係者が作品に思いを寄せた。

 綱男さんは自身が小学5年の時に父親が自殺し、「21年前からずっと恨みや憎みの気持ちでいたが、昨年東京で映画を見て以来、作家という父の姿に寄り添えるようになった」と打ち明け、実行委メンバーから粘土細工の泰志像を寄贈されると「仏壇に置きたい」と笑顔を見せた。

 映画監督の福間健二さんが講演し、「泰志はお金や賞を取るために作品を手掛けたのではなく、純粋な思いで文学に臨んだ。純粋さを貫いた41年だったと思う」と振り返った。

 パネル討論では、実行委の菅原和博委員長や映画プロデューサーの星野秀樹さん、書評家の岡崎武志さんらが、泰志作品が若者を中心に評価されていることに触れ、「当時のバブル期に踊り狂わず、端正な言葉で表現し、今現在の若者が抱える苦しみに似たものが共感を得ているはず。新しい青春文学として読み直されている」とした。

 映画の話題では、市民協力が大きな支えになったとし「個人的には第2弾を」と星野さん。また小説と映画の内容に、違和感やずれを感じるという声もあった。

提供 - 函館新聞社


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