田本研造の足跡たどる写真展

update 2011/6/4 13:08


明治初期、函館で北海道最初の写真館を創業した写真師、田本研造(1832〜1912年)の撮影の足跡をたどった写真展「時代を旅する写真館」が26日まで、函館市弥生町23のギャラリー三日月で開かれている。企画したのは、田本直系の写真館「谷杉写真館」の3代目館主、谷杉アキラさん(43)。田本が道内各地を撮影した写真と、その撮影地の「今」を写した作品を2枚1組にして展示した。函館ゆかりの写真師2人が時代を超えて共演している。

 来年の田本没後100年の節目に向け、創業者への敬意を込めて企画した。

 谷杉写真館は谷杉さんの祖父、正さんが田本写真場の五稜郭店を買い取り1939(昭和14)年に創業。谷杉さんは98年に館主となり、現在は美原に店舗を移転して営業する。

 田本は当時、写真館を営みながら明治政府の依頼で道内各地の開拓の状況を撮影した。

 谷杉さんは函館の写真史を調べるうちに田本との縁を実感し、2009年から田本が当時撮影した道内各地を巡り、撮影活動を始めた。残された写真を手掛かりに撮影地を探し当て、可能な限り田本と同じアングルで撮影を試みたという。

 中には当時の形跡がなくなった場所もあり、すべてを同じアングルで撮影したわけではない。谷杉さんは「人間味あふれる温かみのある写真も残されている。本業が写真館の写真師だからきっと政府の仕事しながら遊び心を持ちながら旅先の風景や人々を写したはず」と推測し、「写真師の視点で自分も旅をした」と振り返る。

 写真展では、昨年復元された箱館奉行所と、その復元の重要な資料となった田本の写真のペアをはじめ、大沼や室蘭、釧路など25カ所の対比写真を展示。谷杉さんならではの感性や視点で撮影したオリジナル作品22点も併せて出品し「時代を超えたフォトセッション。ロマンを体感してほしい」と語る。

 作品のほかにも写真史にかかわる資料も展示し、谷杉さんは「函館には貴重な写真資料が豊富に残されている。来年のメモリアルに向け、写真のまちを発信していきたい」と熱い気持ちを語った。

 観覧無料。午前11時〜午後5時。木曜定休。問い合わせは同ギャラリー電話080-6073-4455。

 ◆田本研造 田本の出身は神川村(現在の三重県熊野市)。1959(安政6年)に箱館に移住し、ロシア人医師のゼレンスキーから写真技術を学び、66(慶応2)年ごろから写真師として活動。69(明治2)年に道内初の写真館を創設。当時の箱館奉行所や旧幕府軍の榎本武揚や土方歳三の写真を撮影した人物として知られ、北海道開拓事業の記録写真を残した。

提供 - 函館新聞社


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