ドングリ3万個ずらり 宮脇名誉教授が育苗指導

2010/10/22
【上ノ国】日本海沿岸の豊かな森づくりに活用する「ポット苗づくり」の講習会が21日、世界的な生態学者の宮脇昭・横浜国大名誉教授を講師に迎えて、上ノ国町農業指導センターで開かれた。地域住民や桧山振興局の職員ら約150人が、3万個ものドングリやトチの実を宮脇氏が開発した新型ポットに植えた。

 上ノ国町日本海グリーンベルト構想推進協議会(花田英一会長)の主催。町は2007年から、日本海沿岸の森林復活を目指し、カシワの苗木や種子(ドングリ)を20年計画で植える活動に取り組んでいる。構想の提唱者である工藤昇町長は「本物の植樹を学んで後世に伝える森づくりを進めてほしい」と話した。

 宮脇さんは、国際生態学会会長などを経て、1993年から地球環境戦略研究機関(神奈川県)の国際生態学センター長を務めている。ドイツで地域の環境に根差した強い樹木を選び、植樹や種まきを進め、本物の森林の回復を図る潜在自然植生の考え方を学び、東南アジアの熱帯雨林再生プロジェクトをはじめ、世界1700カ所で5000万本もの植樹を行った実績がある。

 宮脇さんは新たに開発ばかりという育苗ポットの使い方を説明。ドングリに酸素や水分を供給しやすいよう設計しており、従来のポットより根の発育が進み、苗の成長を早めるほか、荒廃した土地でも根付きが良くなるという。

 同日は町内で採取した3万個ものドングリとトチの実を用意。1万個の新型ポットに腐葉土を山盛りに詰めて3個ほどの種子を入れた。表面には稲ワラをかけて種子や新芽を保護する。ドングリは来春に芽吹きを迎え、来秋に行う植樹活動に生かす予定だ。

 宮脇さんは「ポットは世界で初めて使うものだ。皆さんが新しい森づくりの主役になった。上ノ国から全世界に発信してほしい」と力説した。海外からとんぼ返りで講習会に駆け付けた宮脇さんは、22日には再び出国してタイや中国で植樹活動に取り組むという。

提供:函館新聞社

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