江差追分 講師派遣も…事業仕分け 学校への芸術家等派遣事業「中止」

update 2009/11/26 15:58

 【江差】政府の行政刷新会議は、新年度予算の概算要求を見直す“事業仕分け”で、文化庁が所管する学校への芸術家等派遣事業について「国の事業として行わない」と結論付けた。同事業を活用して、すべての小中学校に江差追分の講師を派遣している江差町教委は「町財政が厳しい中で教育関連予算も縮減を余儀なくされている中で補助金カットは痛手」とする一方、新年度以降は町単独でも講師の派遣を継続する方向で検討を進めるとしている。

 文化庁は2002年度に同事業をスタート。美術、音楽、舞踊、民謡など、幅広い分野の芸術家を学校に派遣するため、講師の謝礼や旅費を負担している。本年度は2億200万円の予算を計上。全国1330校で事業を実施する予定。道内では本年度、江差町の5小中学校を含む24校で講師派遣を行う計画だ。新年度予算の概算要求で同庁は3億200万円を計上。実施校は1527校を見込んでいた。

 江差町教委は2007年度から3年計画で、町内5校の小中学校で江差追分の授業をスタート。郷土学習の一環として“追分名人”で知られる、青坂満上席師匠をはじめとする師匠陣を派遣している。同事業による年間派遣回数は5校で延べ7回。謝礼や交通費は年間約25万円に上る。町立南が丘小では、道の無形民俗文化財の江差沖揚げ音頭や江差鮫踊りも指導。派遣をきっかけに学校との交流が深め、無償のボランティアで歌唱指導に取り組む講師もいるほか、校内に「追分クラブ」が誕生した小学校もある。江差追分会(会長・濱谷一治町長)も、小中学校への講師派遣を、地元での江差追分の普及伝承や後継者育成の重要な柱に位置付けている。

 ところが、政府の行政刷新会議は今月スタートした事業仕分けで同事業について「あまり必要性は考えられない」「自治体や学校の取り組みに任せるべき」「どうしてもやりたければ財源移譲を」と指摘。新年度以降は「国の事業として行わない」として、文化庁が取り組む事業としては事実上の廃止を決定。事業仕分けの結果に町教委は「郷土の伝統芸能である江差追分を学ぶ授業は今後も欠かせない。国の補助金が打ち切られても授業を継続する方向で検討したい」(生涯学習課)としている。

提供 - 函館新聞社




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