【激変8区】「逢坂誠二」敵失で力量以上の得票

 衆院選道8区で小選挙区の初陣を飾った民主党の逢坂誠二。追い風や保守分裂を受け、得票率62%、17万票という圧勝劇を演じた。鉢呂吉雄、金田誠一が守ってきた議席に、過去最多得票、政権交代、与党議員誕生という新たな戦績を刻んだ。

 「17万票すべてが逢坂誠二をいいと思って投じているわけではない。選択肢の無さや現状に対する否定から、このままじゃ駄目だから民主党に懸けてみようという有権者の思いもあったと思う」

 当選から2日後の1日。函館市内で記者会見した逢坂は、自身が“消去法”で選ばれた面を否定しなかった。松谷勇連合後援会長は「金田後援会の協力があっての勝利」と金田への感謝も忘れないが、保守分裂や相手候補の魅力不足、自民党の機能不全など「敵失」があっての大勝だ。つまり、17万票は逢坂の等身大の力量ではない。それは比例票を見ても分かる。

 今回の選挙で民主党の8区比例票は11万8000票。選挙協力を結んだ新党大地へ流れた票もあり多少乱暴だが、これを基礎票とし、「候補を立てない共産党の票の6割、1万票以上は流れた」(陣営関係者)としても13万票。新党大地のほか、公明票の一部の流入があっても、相当な浮動票や保守票がなだれ込まなければ17万票にはならない。

 陣営幹部も「民主の基礎票は12―13万票。これに逢坂個人の人気と、俗に言う“風”が吹いた。自民党支持者からの得票も大きいと思う」と語る。逢坂も言った。「自分が強いのか弱いのか、今の時点では分からない」

 戦いが終われば、議員として政策の実現が求められる。舞台は国政だが、道南地域の大懸案といえば、2015年度開業の北海道新幹線と、それに合わせた地域の高規格幹線道路網の整備がある。しかし「民主党が政権を取れば公共事業が削減され、社会資本の整備が遅れる」と懸念の声があるのも事実だ。

 これについて逢坂は「新幹線は道本部で推進する方向を確認している。党本部の方針と齟齬(そご)があっても、体を張って地域の実態を説明する」と反論する。道路整備も「要らない公共事業をやめると言っているのであって、必要な事業は無駄を省いて実施する」と説明する。

 「国政も大事だが、疲弊した道南経済を何とかしてほしい」という声も切実だ。自治体や経済団体などと連携しながら課題に対応していく考えだが、厳しい前途が予想される。そして有権者は何より、結果を早く求めたがる。「具体的な成果が見えなければ支持者はすぐに離れる。それを踏まえて仕事をしなければならない」と逢坂。

 攻撃する野党から、責任政党へ変わる民主党。17万票を背負った逢坂の真価は、これから問われる。(文中敬称略)

update 2009/9/2 12:14
提供 - 函館新聞社


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