国宝に「中空土偶」…道内初の指定

update 2007/3/17 13:27

 函館市著保内野(ちょほないの)遺跡(尾札部町)で出土した国指定重要文化財「中空土偶」が、国宝(考古資料)に指定されることが16日、決まった。文化審議会が同日、文部科学相に答申した。道内からの国宝指定は初めてで、考古資料では全国で42件目、縄文関係では3件目となる。縄文遺跡と産業・観光を連動させた魅力ある地域づくりを進める函館市にとって、国宝指定は大きな弾みとなる。井上博司市長は「大変うれしく名誉なこと。縄文文化を生かした魅力あるまちづくりを一層推進したい」と話している。

 中空土偶は1975年8月、畑作業中の主婦小板アヱさんが発見し、79年6月に国の重文に指定された。縄文時代後期(約3500年前)に作られたとみられ、高さ41・5センチa、幅20・1センチで国内最大級。頭部の突起や両腕は欠けていたが、ほぼ完全な姿で残っていた。

 内部は空洞で、表面の厚さは5―7ミリと薄手。頭部から足元まで施された細かな文様や漆による彩色の痕跡が特徴だ。精巧なつくりと写実的な表現から、その高い技術と芸術性がうかがえる。

 昨年の発掘調査で同遺跡が縄文時代後期の集団墓地であることが分かり、中空土偶は副葬品と断定。答申では当時の信仰や祭祀(さいし)の実態を明らかにする上で欠かせない資料で、土偶造形の到達点を示すと位置づけられた。

 出土以来、ベルギー王立博物館、スミソニアン博物館、ローマ市立展示館、大英博物館と海外4カ国で展示されたが、地元では2002年の大船遺跡埋蔵文化財展示館(大船町)、05年の市立函館博物館本館(青柳町)の2回だけ。

 4月24日から5月6日まで国立博物館(東京)でお披露目されることが決まっており、函館ではまず6月1日から3日間、南茅部支所での公開を予定しているほか、7月から8月にかけ市立函館博物館本館での特別展を企画している。これまでは南茅部支所内の金庫室に保管され、レプリカ(複製)を大船遺跡埋蔵文化財展示館で展示していた。今後は本物を同博物館本館で保管し、適宜公開する考え。

 また南茅部地区には縄文時代早期から晩期まで90カ所の遺跡が集中しており、市教委は縄文遺跡を保存・活用した生涯学習の推進や観光振興を進める「市南茅部縄文遺跡群整備構想」を策定。早ければ09年度に資料展示や体験学習、調査研究の拠点施設となる「縄文文化交流センター」(仮称)を垣ノ島遺跡(臼尻町)の付近に整備し、管理上の問題でこれまで常設できなかった中空土偶を展示する。

提供 - 函館新聞社



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