フカヒレを不正売却…道の実習船

2007/3/17
 道教育庁の実習船「若竹丸」(666トン)と「北鳳丸」(664トン)の両船長がマグロはえ縄漁の実習中、針にかかったサメのヒレ(フカヒレ)を寄港した清水港(静岡)の業者に売却していたことが、16日までに分かった。同庁実習船管理局によると、過去5年間で若竹丸は9回(2006年5月まで)、北鳳丸は1回(03年3月)、売却していて、総収入は約110万円。生徒を慰労する菓子や飲み物代に充てたという。

 全国で同様の問題が相次ぎ、北鳳丸の帰港を待って船長と乗組員から事情を聴いた。両船長の話によると、不正売却は30年以前から行われていたと推測される。

 航海実習は小樽水産、函館水産、厚岸水産の道立3高校が約1カ月半、中部太平洋上でマグロはえ縄漁の体験や漁獲した魚の処理などを行う。混獲したサメは船長が漁獲と見なした場合だけ肉を市場へ流通させていた。フカヒレは内蔵とともに海中廃棄されることもあり、漁業者内では「売却処分してもよい」との慣習から船内で乾燥させ、清水港で不特定の業者に売却した。

 1度の航海で約10万円の収入があったとみられ、うち8万円を生徒へのケーキやジュース代などに、2万円を体調を崩した生徒に付き添う船員や職員の交通費に充てた。航海中に全額使用し、職員らに現金を渡すことはなかったという。

 道財務規則では実習による漁獲はすべて市場を通じて流通させ、売り上げは道の歳入となる。06年度の売り上げは3航海で年間約400万円だった。

 同管理局の高須賀敏勝局長は「厳しい漁業実習の合間などにジュースなどを提供したいという思いから行ったが、道民の誤解を招く行為。適切な処理を行うよう指導を徹底していきたい」とコメントしている。

 同管理局は16日までに、道立3高校に口頭で事情を説明。会合などであらためて高須賀局長が謝罪する予定。

提供:函館新聞社

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