市民に愛され10周年…シネマ・アイリス

2006/5/12
 市民が出資し、運営する市民映画館「シネマ・アイリス」(函館市本町22、菅原和博代表)が24日に10周年を迎える。菅原代表は「長かったような短かったような10年。映画を見に来てくれた人、ボランティアスタッフのおかげ」と振り返る。

 71座席の小さな映画館として、1996年5月24日に開館。市民出資型の映画館は全国でも珍しく、道内ではアイリスを含め3館のみという。

 菅原代表は「映画が好きで映画館を持つことは夢だった」と話す。「1年目は大変だった。映画の興業は素人だったので、いろいろなことが分からず、五里霧中だった」と当時を振り返る。

 10年間で、最新の映画のほか、大都市でしか見られない単館作品や、大手館では上映されない名画など約1000本を上映。幅広い映画ファンを楽しませてきた。「映画を見に来た人がお礼を言って帰る時やボランティアスタッフの生き生きしている姿を見ると、とにかくうれいしい。映画を通して、人間と人間が触れ合っている」とやりがいを感じている。

 10周年記念特別企画として、要望が多かった「高峰秀子と成瀬巳喜男」を13日から26日まで特集。4作品を上映する。高峰秀子は函館が生んだ昭和の大女優。「函館からすばらしい女優が生まれ、活躍したことを若い人に伝えたい」と思いを込める。

 また、成瀬巳喜男監督が昨年生誕100周年を迎えたことから「アイリスの記念上映にはピッタリの2人。もう一度、昭和を思い起こしてもらいたい。若い人には昔の映画の良さを知ってもらい、年配者は、当時を思い出しながら見てもらいたい」。

 13日からは、まず戦中戦後の混乱期の中でただ愛欲の赴くままに流され、落ちていく男女を描いた「浮雲」を上映。菅原代表も上映したかった作品の一つで思い入れも強い。「恋愛映画の中で最高傑作。昔の日本映画のクオリティーの高さがよく分かり、古さを感じさせない。1本見れば2人のコンビのすごさが分かる」と太鼓判を押す。

 菅原代表は「日々、市民に楽しんでもらえる映画を上映し、町の映画館として、市民に愛されるよう努力していきたい」と20周年、30周年を見据えて力強く語った。

 23、24両日は「ワンコインシアター」と題し、500円で見られる1作品を用意する。

提供:函館新聞社

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